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【中学受験の国語】読解の得点に直結する知識力とは?

読解力に直結する知識力とは? 国語の解き方

国語の学習というと、視線は無意識に「いかに読解力をつけていくか」に向きがちです。確かに最終的には読解力がなければ、入試の国語はかなり厳しいものになりかねません。ただ、読解力のベースに知識力が必要であることを忘れるわけにはいきません。

筆者はよくこんな受験生を目にします。

  • 本文のはじめから終わりまで、なにが書かれているのかがわからない。
  • 接続語の使い方や指示語の使い方からすると、このあたりに答えが書かれていると思うのだけど、そこになにが書かれているのかがわからない。

こうしたケースで受験生の話を聞いてみると、「実は書かれている言葉がわからない」、「実は知識が足りない」ということはかなりの頻度で起きています。読解の方法論はわかっていても、言葉を知らない、知識が足りないために解けないということです。

誤解のないように先に申し上げておくと、読解問題は基本的にしっかり読み取ることで正解できるようにできています。決して博士のような知識が必要だというわけではありません。ただ、「説明不要」とされるような基本的な言葉さえ知らなければ、せっかく読解の方法論を学習しても本文の意味を読み取れません。その意味で、やはり知識は非常に重要です。

それではどのような知識を身につけていけばいいのでしょうか。「読解力に直結する」という観点から、必要あるいは持っておきたい知識を紹介します。

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塾のテキストでよく学習する知識分野

まずは大切なのは、塾のテキストや副教材に掲載されているような知識をしっかりと身につけることです。

漢字

中学受験において漢字を出題しない学校はほとんどありません。漢字が比較的少ない印象のある麻布中学でも、4問程度は出題されます。また、学校によっては大問を一つ立てて漢字を出題するほかに、別の大問の読解問題のなかでさらりと漢字を織り交ぜてくることもあります。受験を検討している中学校にかかわらず、漢字の学習はコツコツ続けましょう。

漢字の学習をするなかで語彙力がついてくる点も見逃せません。漢字を学習していると、どうしても知らない言葉が出てきます。これらの意味を一つずつ理解しながら漢字を学習していくことで、読解に必要な知識も少しずつついていきます。

漢字は努力が成果に直結しやすいものです。そうであれば、学習しない手はありません。もし「いままで少しさぼっていたかもしれないな……」と感じていても大丈夫です。今日からでも遅くありません。長期的な視野をもってコツコツ学習していきましょう。

ことわざ、慣用句、四字熟語などの言葉の知識

ことわざ、慣用句、四字熟語が本文中に使われることはよくあります。そうだということは、これらの意味がわからなければ、本文を読み間違えることにつながってしまうということです。

たとえば、中学受験生が間違いやすい言葉に「情けは人のためならず」があります。ご存じの通り、「他者に情けをかけると、巡り巡っていずれはよい報いとなって自分に返ってくる」というような意味の言葉です。これを「他者に情けをかけるとその人のためによくない」だと思ってしまうと、それまでの本文の流れと真逆にとらえて混乱してしまう恐れがあります。

こうした読み違いがこの部分だけであれば、本文全体の理解にさほど影響しないかもしれません。しかし、同じ大問のなかでこうした読み違いがいくつも重なると、本文全体の意味がわからなくなってしまいます

ことわざ、慣用句、四字熟語などの言葉の知識は、いくら学習してもキリがないように思えるかもしれません。せめてテキストや副教材に掲載されているものについては、しっかりと学習しておきましょう。

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入試によく出るテーマの周辺にある言葉や背景の知識

入試の文章にはよく出るテーマがあります。たとえば以下のようなものが挙げられます。

【説明的文章】

  • 自然…白神山地や里山は本当に自然か
  • 生物…動物や昆虫の生態
  • 植物…在来種や外来種
  • 環境問題…温暖化、ゴミ問題、資源の枯渇
  • 言葉…明治維新後に生まれた日本語
  • 宗教…一神教と多神教

(あくまでも例です)

【文学的文章】

  • 親子愛
  • 兄弟愛
  • 友情・友愛
  • 戦争
  • 貧困
  • 障害

(あくまでも例です)

こうしたテーマの周辺にある言葉や背景についての知識を持っているかどうかで、本文の理解に差があるというのは容易に想像できます。

たとえば「明治維新のころ、江戸時代までにはなかった日本語が生まれたんだよね」というざっくりした知識をもともと持っていれば、このテーマが出たときに本文を理解しやすくなるはず。また、実感が伴わなくても、「親は子どもの成長をうれしく思う反面、さみしく思うこともあるんだよね」と想像したことがあれば、やはり登場人物の感情の理解に役立ちます。逆にこうした知識がなければ、本文を理解できなくなってしまうかもしれません。

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他教科を学習するなかで出てくる知識

国語は全分野的が教科だと、筆者は思っています。算数、理科、社会で身につけた(あるいは身につけておくべき)知識が本文の理解に役立つことがあるのです。

たとえば、こんなことがありました。ある中学校の過去問で国語の物語文を一緒に学習していたときのこと。生徒さんが「この話ってもちろんフィクションなんだろうけど、実話なんだよ」と言い出しました。話を聞いてみると、社会科の資料集にこの話が載っているとのこと。そして生徒さんは社会の資料集を持ってきて、該当箇所を見せてくれました。すると、おそらく3~4行ぐらい、文字数にして100~200字ぐらいでしたが、本文と同じ内容が確かに載っていました。この生徒さんは読みながら、「社会の資料集のあの話だ」と気づいたため、非常に理解しやすかったとのことです。

いまあげたのはすばらしい例ですが、ここまででなくても他教科の知識が国語の本文読解に役立つことはあります。

理科や社会で地球温暖化についてしっかり学習していれば、国語で地球温暖化がテーマの文章が取りあげられたときに理解しやすくなるはずです。逆に地球温暖化について触れたことがなければ、本文を読みながら「地球温暖化ってなんだろう?」と理解しながら読まなければいけなくなります。ただ、「地球温暖化」はもはや知らない人がいない問題です。本文中でもわざわざ説明されていないことがあります。すると、本当になにも理解できないまま本文を読み終えることにもなりかねません。

繰り返しますが、国語は全分野的な教科です。他教科の知識を持っていることが国語の読解力向上にとってプラスに働くことは間違いありません。

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日常生活で身につけてほしい知識

塾のテキストや副教材に取り上げられづらい知識もあります。こうした知識は日常のなかで身につけていくしかありません。

行事など

筆者は最近、行事に関する知識が不足している受験生が多いなという印象を持っています。

たとえば「ひな祭りって何月何日?」という質問にお子さんは答えられるでしょうか。もちろん「3月3日」なのですが、答えられない受験生を何人か見たことがあります。また、「ひな祭り=桃の節句」であること、女子の健やかな成長を願う行事であること、ひな人形を飾ること、菱餅やひなあられなどを食す風習があること……などなど、付随する知識がない子もいます。

また、仏事関係では「法事」という言葉を知らない受験生も増えているようです。筆者が子どものころは一族が集まる法事がまだおこなわれていましたし、子どもが出席することは普通のことでした。最近では子どももいろいろと忙しく、法事はおこなわれていても子どもは出席しないことも多いようです。その結果、本文中に「法事」という言葉が出てきても、その雰囲気をイメージできない子は多くいます。

中学受験の勉強は塾の教室、机のうえだけでするものではありません。日常でいろいろなことに興味を持って(興味を持たせて)学習できるといいですね。

時代のテーマ、時代のキーワード

時代のテーマやキーワードについて書かれた本文もよく取りあげられます。いまで言えば「格差社会」や「若者の貧困」、「SDG’s」、「DX」、「GAFAM」などが考えられそうです。

こうした言葉について前提となる知識があるのとないのとでは、読解に大きな差が出ます。たとえば「格差社会」について論じた文章の大きな流れは、「かつて日本人は皆、中程度の豊かさだった。現在では中間層がいなくなり、富裕層と貧困層の格差が広がっている」というような感じでしょうか。これぐらいの知識は「持っているのが当たり前」と考えられているのか、本文にも注釈にも丁寧な説明がないまま「格差社会」という言葉が使われていることも少なくありません。

もしこうした言葉の知識を持たないまま本文を読むことになれば、理解できないのは仕方ないことでしょう。逆に言えば、概要だけでもいいので知識を持っていれば、本文を理解しやすくなるわけです。

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まとめ

繰り返すことになりますが、筆者は決して「国語の力=知識力」とは考えていません。基本的に国語の問題は一般的な知識があれば解けるようにできています。ですから、クイズ王並の知識を身につけるべきだということではありませんし、無限に続く“知識沼”のようなものをイメージすることもありません。

ただ(中学校がどこまで意識しているかはわかりませんが)受験生に求められる一般的な知識あるいは最低限の知識がなければ、せっかく読解の方法を学習しても肝心の問題を解けません

読解力のベースには知識力があります。読解と知識を両輪のようにとらえ、ぜひどちらもバランスよく学習していただければと思います。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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