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【中学受験】国語の苦手な受験生が偏差値を5上げる5つのポイント

中学受験国語の苦手な受験生が偏差値を5アップする方法 国語の解き方

国語の苦手な受験生と一緒に学習していると、共通点がおどろくほどあるのに気づきます。逆に言えば、国語の苦手な受験生の共通点を修正すれば、国語ができるようになるということです。

今回の記事では国語の苦手な受験生が絶対にできるようになるべき、5つのポイントを紹介します。あくまでも筆者の経験則ではありますが、この5つを身につけるだけで偏差値を5ポイントは改善できると考えています。ぜひ最後までお読みになってください。

(※この記事での「国語の苦手な受験生」とは偏差値40台半ばを想定しています)

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設問にチェックを入れる

まず大切なことは設問にチェックを入れることです。塾や家庭教師の先生から言われたことのある受験生もいるのではないでしょうか。

ところが、国語の苦手な受験生の問題用紙を見ると、設問になにもチェックが入っていないことがよくあります。そのため、なにが問われているかを理解しないまま問題を解こうとしてしまうのです。

設問にチェックを入れることで、たとえば「この問題では、理由が問われているのだな」「この問題の条件はこれだな」と理解してから答えを考えることにつながります。しっかりとチェックを入れましょう。

【チェックを入れて確認すべき設問の文言例】

  • 「なぜ」「どうして」…理由が問われている
  • 「どういうこと」…記述問題の場合であれば、答えの文末を「こと」にする
  • 「ふさわしくないものを選びなさい」…ふさわしいものを選ぶと不正解になる
  • 指定された文字数…抜き出し問題の場合は特に大切。(10字なのか、10字以内なのか)
  • 指定された本文の範囲…「本文の(中略)以降から」などの指定
設問へのチェック例
設問へのチェック例。「人物」「問われている内容」「条件」にチェックを入れています。(聖光学院2022年第1回入試より)

設問にチェックを入れることは、国語だけでなく算数、理科、社会すべての科目に有効です。必ずおこないましょう!

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傍線部の前と後、どちらに答えがあるだろうかと考える

問題を解くヒントを得る方法は、問題によってさまざまです。たとえば、傍線部に指示語があるのであれば、まずは指示語の内容を明らかにしてみるのが王道。人物の気持ちが問われたのであれば、傍線部に気持ちを表す言葉や行動、しぐさがないか確認するのがセオリーです。

ただ、こうしたことがどうしても難しいと感じるのであれば、まずは傍線部よりも前を読むべきか、後を読むべきかを考えるだけでも答えを出しやすくなります

たとえば、以下の文章と設問の場合を考えてみましょう。

これに対して2017年に行われたフランス大統領選では意外な現象がありました。アメリカ大統領選ほど、フェイクニュースが問題にならなかったというのです。現地からの報告には驚きました。一体どうしてなのでしょうか。

池上彰「池上彰の未来を拓く君たちへ」

この文章に対して、以下のような問題が出たとします。

問題 「アメリカ大統領選ほど、フェイクニュースが問題にならなかった」とありますが、なぜですか。

文章には「一体どうしてでなのしょうか」とありますので、このあとに理由が説明されていることになります。つまり、傍線部よりも後を読んでいけば答えがわかるはずですね。

このように、傍線部の前と後のどちらを読めばいいかを考えるのは、そこまで難しいことではありません。そして、これを考えるだけで答えを出しやすくなるのであれば、取り組まない選択はありませんね。

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「中途半端なところから読みはじめて、中途半端なところまで読む」のをやめる

国語の苦手な受験生の様子を見ていると、答えを考えるときに本文の中途半端なところから読みはじめて、中途半端なところまでを読んで終わりにしてしまうことがよくあります。ここで言う「中途半端」とは、「文の途中」「段落の途中」という意味です。

受験生に話を聞いてみると、「どこから読めばいいかわからなかったし、どこまで読めばいいかわからなかったから、とりあえず適当に読んでみた」と返ってくることがあります。

もちろん、理屈で考えて「ここから、ここまでのあいだに答え(あるいはヒント)があるはず!」と、的確に読むべき範囲をしぼるのがもっともいいことではあります。ただ、難しい場合は、中途半端に読まずに「文の最初から読む」「文の最後まで読む」「段落の最初から読む」「段落の最後まで読む」ということだけでも、意識して取り組んでみましょう。それだけで答えを見つけやすくなりますよ。

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筆者が伝えたいことが書かれている表現だけは見落とさない

説明的文章(論説文・評論文・批評文)の場合は、筆者が伝えたいことをはっきり書いてくれている箇所があるものです。こういったところを見落とさず注目するだけでも、文章の主旨をつかみやすくなり、問題を解きやすくなります。具体的にはどのようなところに注目すればいいのでしょうか。

筆者が自ら「ここが重要ですよ」「ここを伝えたいんです」と強調しているところ

もっともわかりやすいのは、筆者が自ら「ここが大切です!」と強調しているところです。以下の文は非常にわかりやすい例でしょう。

本章で一番大切なことを書こう。「他者」を認めること、それが「自分」を確立する。認めるというのは、存在を認め、立場を認め、意見を聞き、人格を尊重し、必要であれば、守り、敬う、ということである。

森博嗣「自分探しと楽しさについて」

引用した文章の冒頭では「本章で一番大切なことを書こう」と、筆者が自ら「ここが大切ですよ」と伝えてくれていますね。こうしたところにはやはりチェックを入れて、「そうか、これが言いたいことなのだな」と意識しましょう。

また、「~が必要だ」「~が重要だ」「~が大切だ」「~すべきである」「~しなければならない」などの表現も見落とさないようにしましょう。

結局のところ、どんな場合にあっても、コンテンツを素直に評価することが一番大切である

森博嗣「自分探しと楽しさについて」

引用した文の最後に「一番大切である」とあります。このような表現にはしっかり気づいて、意識できるようになるといいですね。

まとめの表現からはじまる段落

まとめの表現も大切です。先ほどの文をもう一度見てみましょう。

結局のところ、どんな場合にあっても、コンテンツを素直に評価することが一番大切である。

森博嗣「自分探しと楽しさについて」

文のはじめに「結局のところ」と書かれています。つまり、ここまでの内容をまとめる表現だと考えていいでしょう。まとめのところには、筆者の主張・意見が書かれているのが一般的ですから、注目するといいですね

ところで、「まとめの表現」というと、本文の最後にあるものだと考えがちです。もちろん本文の最後にもあります。実際、上記の一文は本文の最後から2番目の段落にありました。

ただ、まとめの表現は本文の最後だけにあるのではありません。説明的文章は話題を移しながら最後に筆者の意見をまとめるものですが、次の話題に入る前にその話題の内容をまとめることが多くあります。本文の節目節目で内容がまとめられている段落、文があるということですね。ですから、本文の途中にあるまとめの言葉にも注意を向けましょう。

【まとめを表す言葉の例】

  • つまり
  • すなわち
  • ようするに
    ※「つまり」「すなわち」「ようするに」の3つはセットで覚えましょう。
    ※「つまり」「すなわち」「ようするに」の3つを「まとめの接続語」とするかどうかについては意見があるかもしれません。私も普段は「言い換えの接続語」とお話ししています。ここではひとまず「まとめの接続語」としておきます。
  • このように…具体例の内容をまとめる場合に使われることがよくあります。

逆説のあと

「筆者の言いたいことは逆説のあとにあるよ」と教わる受験生は多いと思います。ただ、逆説のあとであれば、いつでも筆者の言いたいことが書かれているとは限りません。

説明的文章(論説文、評論文、批評文)は基本的に、筆者が一般論を否定して自分の意見を主張するものです。典型的なのは「一般的にはこんなふうに考えられますね。でも、私はこう思うのです」という形でしょうか。以下の文章をお読みください。

ネットの利点は、探したい情報が瞬時に大量に集まること。手元の画面で世界中の情報に触れられることは、とても便利ですし、魅力的です。しかし、この便利さの陰に盲点があります。スマートフォンなどの画面に表示される情報の真偽はともかく、瞬時に反応し、自分に都合のよい情報だけを受け入れる生活に慣れてしまっているのではないか、と危惧しているのです。

池上彰「池上彰の未来を拓く君たちへ」

引用の半ばに「しかし」という逆説があります。この「しかし」の前が一般的にいわれているインターネットの利点。そして、「しかし」という逆説のあとに、「情報の真偽はともかく、瞬時に反応し、自分に都合のよい情報だけを受け入れる生活に慣れてしまっているのではないか」という筆者の意見が書かれています。

このように一般論を否定する形で逆説の接続語が使われていたら、しっかりチェックして筆者の主張を読み取りましょう。

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本文を読んで答えを考えてから選択肢を見る

国語の苦手な受験生を見ていると、設問を読んだあとにいきなり選択肢を読みはじめていることがよくあります。

もう10年ほど前になりますが、偏差値60前後を取っている受験生がいました。その受験生があるテストで突然、偏差値を落としてしまったことがあります。話を聞いてみると、以下のような返答でした。

生徒さん
生徒さん

時間を短縮できないかなと思って、本文に戻らずに選択問題を解いたけどダメでした。

「時間の短縮のために本文に戻らずに解いてみる」という壮大な実験をテストでしてしまうところが、なんともこの受験生らしいなと感じる出来事なのですが、普段は偏差値60前後取っている受験生でも、本文に戻らなければ得点できないということです

問題を解くには手順があります。

「設問を読んでなにが問われているか理解する→本文に戻って答えを考える→選択肢を見る」。この手順を必ず守りましょう。

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まとめ

国語の苦手な受験生(偏差値40台半ば)が偏差値を5ポイント上げるための注意点をまとめます。

  1. 設問にチェックを入れる
  2. 傍線部の前と後、どちらに答えがあるだろうかと考える
  3. 「中途半端なところから読みはじめて、中途半端なところまで読む」のをやめる
  4. 筆者が伝えたいことが書かれている表現だけは見落とさない
  5. 本文を読んで答えを考えてから選択肢を見る

こうしたことができるようになるだけで、本当に偏差値が伸びていきます。「国語が苦手」「国語はどう勉強すればいいかわからない」「国語はどういうところに注意すべきかわからない」ということであれば、ぜひ紹介した内容を意識して学習していただければと思います。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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