サピックスでは6年生後期になると、日曜日に「SS特訓」がスタートします。「SS特訓」とは「Sunday Sapix(サンデーサピックス)」のこと。火曜と木曜の「平常授業」、土曜日の「土特(土曜志望校別特訓)」にプラスして、この「SS特訓」がスタートするということです。
授業回数は9月から1月までの5か月間で全14回。「合格力判定サピックスオープン(SO)」のある日曜がお休みになることや、12月最終週から1月第1週にかけて冬期講習と正月特訓が実施されるため、5か月間という期間に比べて少し少なくなっています。それでは、SS特訓とは具体的にどのようなものなのでしょうか。

SS特訓は2026年にリニューアルされました。2025年までは「志望校別講座」と「単科講座」に分かれていましたが、2026年からは「志望校別授業」を6コマ実施したあと、希望者のみ「基礎知識確認講座」を受講できるようになっています。今回のリニューアルによる狙いは以下の通りです!
<リニューアルポイント>
引用元:サピックス小学部Webサイト https://www.sapientica.com/application/course/ss/
- 複数の学校の対策を実施可能にすることで、幅広い対策を実現
- 志望校に特化した対策と幅広い学習の両立により、近年の入試で求められる総合力を養成
SS特訓の特徴と目的
SS特訓はどのようなこと目的にしているのでしょうか。
志望校別講座では、その名の通り志望校に特化した対策授業を実施します。開成、麻布、武蔵、駒東、桜蔭、女子学院といった名前のついているコースで、それぞれの中学校の問題傾向にあった対策をするのが目的です。
一日の授業のなかで算数・国語は2コマずつ。理科・社会は1コマずつ。合計6コマの授業が実施されます。
SS特訓の授業時間は?
SS特訓は9月から1月の「毎週日曜9時00分~18時30分」に6コマの志望校別授業が実施されます(※サピックスオープンがある週を除きます)。ただし、選択制の「基礎知識確認講座」を受講する受験生は「18時40分~19時40分」に1コマの授業が追加されます。
| 志望校別授業(必修) | 9:00~18:30 | 80分授業×6コマ |
| 基礎知識確認講座(選択) | 18:40~19:40 | 60分授業×1コマ |
コマとコマのあいだの休み時間はありません。休み時間がないのはサピックスの特徴の一つで、平常授業や土曜特訓と同じですね。
コース分け(クラス分け)とコース昇降は?
SS特訓のコース分について紹介します。
志望校別授業
志望校別講座のコース分けは、基本的には実際の志望校の通りにおこなわれることになります。開成中学への進学を希望する受験生は「開成コース」、桜蔭中学への進学を希望する受験生は「桜蔭コース」で受講するということです。また、同じ学校の志望者が多い場合は、「開成1」「開成2」「開成3」というようにコース名に数字がついて分けられることがあります。
コース昇降は、毎回の演習授業で出る授業点と昼テストの得点の合計によっておこなわれるのが基本です。同じ中学校名で複数のコースがある場合は、たいてい上位1~2名が上がり、下位1~2名が下がります。その時々の受験生の得点やコースの所属人数によって昇降する人数が決まるため、明確な基準があるわけではありません。
こうしてコースを変更したうえで、席の並び順を決定します。席の並び順も、視力の関係で前方の席にいないと黒板が見えないというような特定の事情がない限り、基本的には得点順です。高得点の受験生が前列、得点が下がるにつれて後列になります。
いっぽう、ひとコースしかない場合は、席の並び順のみの変更です。
国語の教材の形式は?
筆者が普段教えている教科である国語について、詳しく説明します。
志望校別講座の教材は、各中学校の問題傾向にあった演習問題となります。「開成対策プリント」「桜蔭対策プリント」「麻布対策プリント」「駒東対策プリント」「武蔵対策プリント」「女子学院対策プリント」「雙葉対策プリント」「フェリス対策プリント」といった教材を使います。
ただ、すべての中学校の対策プリントがあるわけではありません。「聖光学院対策プリント」「豊島岡対策プリント」「渋谷渋谷対策プリント」「浅野対策プリント」「サレジオ対策プリント」などはないため、「最難関対策プリント」や「難関中対策プリント」という教材を使うことになります。
復習の方法、宿題(家庭学習)は?
後期の家庭学習は「過去問」と「SS特訓の復習」が最優先だと考えるといいですね。
SS特訓の復習の仕方は平常授業や土曜特訓と同じです。根拠を明らかにして、考え方をしっかり確認していきましょう。SS特訓がはじまるまでサピックスに通ってきた受験生であれば、どのように復習すべきか、ある程度理解していると思います。
また、6年生後期には過去問にも取り組みはじめる時期です。具体的には以下のようなメニューを毎週こなすことになります。
- 平常授業×週2日(算数、国語、理科、社会)
- 土曜特訓×週1日
- SS特訓×週1日
- 志望校の過去問
これにプラスして月1~2回の模試があります。これらのすべてを同じようなウェイトによって復習するのは難しいと思います。大切なことは、学習を可能な限り授業内で完結することです。
家庭学習の取り組み方については、以下の記事のなかで詳しく説明しています。
SS特訓の算数については、以下の記事にまとめました。
SS特訓の算数については、以下の記事にまとめました。
SS特訓を受けないのはあり?
「SS特訓を受講しないのはありですか?」
多くはないのですが、こう聞かれることがあります。日曜日に丸一日塾の授業に使うより、自分で(家庭で)勉強したほうがいいということのようです。
結論を言うと、SS特訓を受けない選択肢はありません。サピックス生であれば、SS特訓を受講すべきだと考えます。
SS特訓を受講すべき理由1 授業内容が実践的である
SS特訓では、各中学校に特化した対策授業が実施されます。過去の入試問題の研究によって作成された問題ばかりなので、質の高い問題が並んでいるのが特徴です。こうした問題を14回分も解くことは、合格力の向上に役立ちます。
また、志望校の名前が入っていないプリントも使用されますが、比較的オーソドックスな問題を解くなかで、合格に必要な力を養成できるよう作成されています。「砂上の楼閣」という言葉がありますが、受験勉強も基礎的な力をしっかりつけなければなりません。ベースをしっかり固めるのに役立ちます。
SS特訓を受講すべき理由2 同じ中学校を志望する受験生が刺激しあえる
SS特訓の教室には、基本的に同じ中学校を志望する受験生が集まっています。これが大きな刺激になることは間違いありません。SS特訓の性質上、席順によって他の子の得点がある程度わかります。そうであれば、教室内で競争が生まれるのはごく自然なことです(ここでは、成績で競争することの是非は問いません)。「あの友だちに負けたくない!」「いつも前方の席に座っているあの子に追いつきたい!」。こういった気持ちが学力の向上につながっていくのです。
また、同じ中学校を志望する友人が一緒だからこそ長時間、集中して勉強できるという面もあります。仮に、日曜日の通塾をやめて一人で学習していたとしても、これだけの勉強時間を確保するのは難しいのではないでしょうか。
SS特訓についてよくある質問
SS特訓についてのよくある質問をまとめていきます。
Q:サピックスに通塾していない外部生は受講できますか?
A:普段は別の塾に通っている受験生でも、SS特訓を受講することはできます。ただし、申し込めば受講できるわけではなく、入室テストに合格する必要があります。
Q:外部生がSS特訓の授業についていけますか?
A:筆者も実際にSS特訓で外部生のいるクラスを担当したことがありますが、外部生だからといって授業についていけなくなるという印象はありません。6年生の入室テストに合格して受講している生徒さんということもあり、むしろ学力は高い傾向にあったと記憶しています。入室テストに合格したということであれば、安心して授業を受けてほしいなと思います。
Q:長時間の授業を受けて来られるか心配です。大丈夫ですか?
A:「授業時間が長くてとても受けられない」という子を見たことはありません。9月のはじめは「長いな」「疲れたな」と言っていたような子も、すぐに慣れていきます。中学受験生は本当にすごいですね。
ただ、トイレに立つようなことがなければ数時間座っている状態になるため、「エコノミー症候群」が心配ではあります。筆者は定期的に屈伸運動をしてもらっていました。もし心配なようでしたら、校舎に問い合わせてみるとよいでしょう。
Q:子どもが通っている校舎ではSS特訓を実施しないと聞きました。受講できないのでしょうか。
SS特訓は、一部の小規模校では実施されておりません。近隣の大規模校(中規模校)に行って受講することになります。受講できないということはありません。なお、この場合、普段通っている小規模校の講師陣が近隣の大規模校(中規模校)に行って授業を担当することがよくあります。いつもと違う校舎に行くことで不安になってしまうかもしれませんが、安心して授業を受けられます。
SS特訓を受講する際、絶対に気を付けるべきこと
最後に、筆者が個人的に「SS特訓を受講する際、絶対に気を付けるべき」だと考えていることをお伝えしたいと思います。
それは自分の志望校と学力に合ったコースで受講することです。
単純な注意点ですが、非常に重要だと考えています。それを理解するために、2つのケースを見てみましょう。
ケース1 志望校と自分の学力が合わない場合
たとえば「志望校はX中学だが、学力があまりにも足りない」というケースがあります(具体的な学校名は控えますが、志望校の偏差値は60以上、自分はたとえば50に届かないというような場合です)。
この場合、X中学の対策コースに入ってしまうと、結果的には無駄になってしまうことがあります。「一所懸命がんばれば、いずれ学力がX中学に追いつくはず!」という気持ちももちろんわかるのですが、あまり意味のない日曜日を過ごすことになりかねません。
ケース2 志望校の問題と対策問題が合わず、自分の学力も足りない場合
「自分の第一志望校は選択と抜き出しが中心のY中学。しかし、SS特訓では記述中心のX中学の対策問題にばかり取り組んでいる」というケースもあります。
本当に学力のある受験生の場合、このケースでもさほど問題はおきません。むしろ「読み→考え→記述する」というプロセスのなかで学力が飛躍的に伸びていくことがあります。
一方そうでない受験生の場合、不必要な記述問題にばかり取り組むことで解答の緻密さを失っていくことがあります。「とにかくたくさん書けば得点になるはず!」と間違った認識で練習を重ねてしまうことがあるからです。
緻密さを失うと、以前は解けたはずの選択問題や抜き出し問題も解けなくなっていきます。筆者は、6年生後期にこうした問題を抱えてしまった受験生を見てきました。
その根底には、所属コースと学力のミスマッチがあると考えています。たとえば「X中学3」というコースから、「X中学2」「X中学1」になかなか上がれず、本来はX中学が志望校でないのだとしたら、コース変更を検討すべきではないかと思います。
SS特訓の志望校別講座では、各中学校の問題傾向を研究した対策問題を解くことになります。だからこそ、自分の志望校と学力に合ったコースで受講することが非常に大切なのです。
まとめ
サピックスのSS特訓について、まとめました。6年生の後期はわずか5か月しかありませんが、中学受験勉強のなかでもっとも大きく力を伸ばせる時期でもあります。この記事が皆さんの参考になることを願っています。



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