受験生である6年生の夏期講習は非常に大切なもの。どの受験生、どのご家庭も「がんばらなくちゃ!」という思いで通っていらっしゃると思います。
ただ、夏期講習は小学校の夏休みのあいだ、ずっと続くものではありません。多くの塾が8月半ばから数日間のお盆休みを設けています。
この期間、どのように過ごせばいい状態で後期を迎えられるでしょうか。
お盆休みに優先すること
お盆休みに優先すべきなのは、夏期講習前半に復習できなかった問題に取り組むことです。
夏期講習中は本来、毎日の復習をその日のうちに済ませるべきです。しかしながら、授業は連日続いているため、どうしても手がまわらなくなってきます。たとえばサピックスの場合、夏期講習前半は15日。算数と国語は15回ありますし、理科と社会は7回ないし8回あります。基本的に5日に1日の自宅学習日が用意されていますが、それでも復習しきれないことがあります。それをお盆休みに取り戻すのです。
ただ、すべての問題に取り組めばいいというものではありません。授業中に間違えたもののなかから、「この問題はできないといけないよね」というものを選んで復習するといいでしょう。
お子さんがどの問題を優先して取り組むべきかわからない場合は、塾や家庭教師の先生に聞けばすぐに教えてもらえます。
お盆休みは苦手を克服するチャンス
お盆休みに意識しておきたいことがあります。それは苦手科目や苦手分野の克服に時間を使うということです。
私たち大人もそうですが、苦手なことに取り組むのは気が重いもの。小学生である中学受験生ならなおさらです。ただでさえ大変な夏期講習の時期に苦手な分野に取り組ませるなんて残酷に思えるかもしれません。その気持ちはよくわかります。それでもやっぱり、苦手科目や苦手分野の克服に時間を使ってください。
たとえば「算数のこの分野は得意だけど、この分野は苦手」「国語の記号選択は得意だけど、抜き出し問題は苦手」という状態のまま後期に入っていくと、非常に苦労することになります。時間的にも残り5か月を切り刻一刻と入試が迫ってくるため、「このままではまずい!」という焦りから調子を崩してしまうこともあります。
後期に飛躍するためにもお盆休みは苦手科目や苦手分野の克服に力を使って、学力をベースアップしておきましょう!
お盆休みに「休み」は必要?
お盆休みは夏期講習前半にできなかったことに取り組み、苦手科目・苦手分野を克服するのに大切な時期。お子さんからは「『お盆休み』なのに全っ然、休みじゃないじゃん!」という声が聞こえてきそうです。
では、文字通りのお休みは必要でしょうか?
旅行に行ったり、花火をしたり、海やプールに行ったり……。こういう「小学生らしい」夏休みを過ごしてもいいのでしょうか。ご両親はこの点に最も頭を悩ませるのかもしれませんね。
筆者個人の意見を申し上げれば、少しぐらい夏休みらしいことをしてもいいのではないかと思っています。
中学受験生は夏期講習中、塾と家庭学習を合わせて8~10時間は勉強しています。仮にサピックスに通っているとすると、「午前中は前日の復習。13時30分~19時30分が授業。夜は当日の復習をして就寝」というのが基本的なスケジュールになっているはずです。午前中に家庭教師が来たり、個別指導に通ったりしている受験生もいるでしょう。もしも中学受験生に「労働基準法」が適用されるとしたら、完全に抵触するレベルの勉強時間です。お盆休みまでにこのスケジュールを15回前後こなしているのですから、疲れないはずがありませんね。
そう考えれば、中学受験生がお盆休みに少しぐらい夏休みらしいことをしてもいいのではないでしょうか。そうでなければ、後期に大きな疲れが襲ってくるリスクも否めません。
ただし、注意したいことが2つあります。
本人が夢中で勉強しているのなら、無理に休ませない
受験生のなかには、夢中で勉強している子がいるものです。おかしな危機感からでなく、気持ちよく勉強しているのであれば、やりたいだけ勉強させてあげるようにしましょう。いい状態で勉強している子は、この時期にグングン伸びてくれるものです。
休むことでリズムを崩してしまうかもしれない
夏期講習期間は良くも悪くも決まったスケジュールで勉強しており、受験生本人の頭も体もこれに慣れています。それが休みを入れることでブツリと切断されてしまうリスクがあるのです。こうなると再び頭と体を動かすのに苦労します。
たとえば、「午前中は勉強、午後以降は夏やすみらしく過ごす」など、“半休”のような休み方をするのも方法の一つです。旅行に行くのであれば、こういった点にも注意するといいですね。
まとめ
・お盆休みは夏期講習前半に復習できなかったものに取り組む
→どの問題をやればいいかわからない場合は、塾や家庭教師に相談
・お盆休みは苦手科目や苦手分野の克服に時間を割く
・お盆休みには、夏休みらしい休みも必要
・気持ちよく勉強しているのなら、無理に休ませる必要はない
・休むことでリズムを崩すリスクを感じたら、“半休”を上手に使う