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中学受験の準備と勉強はいつから?|4~6年生のスケジュールを現役塾講師が解説!

中学受験のスケジュールの疑問を解決 コラム

「子どもと一緒に中学受験に挑戦する」と決めたものの、「いつ、なにをすればいいの?」と困ってしまうことがあります。実は、6年生の1~2月に実施される入試までにやるべきことはある程度決まっているものです。

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4年生(3年生2月~4年生1月)

4年生は中学受験塾に入る時期です。大手の進学塾は3年生2月から中学受験用のカリキュラムを組んでいます。まずは、5、6年生のハイレベルな授業に向けて、基礎的な学力を身につけましょう。この1年のあいだにコツコツ力をつけられれば、5年生以降の可能性が大きく広がります。

2月~3月

「進学塾」というものに慣れる時期です。塾で行われる授業は、学校の勉強とはまったく異なります。子どもたちはいままで見たこともないような内容を理解し、問題を解くことが求められます。「学校では勉強ができるほうだし大丈夫!」という子のほとんどが、偏差値50も取れない世界です。まずは毎回の宿題をしっかりとこなし、塾のサイクルに慣れながら力をつけてください。

宿題が終わらなかった場合に叱る必要はありません。「どうして終わらなかったと思う? どうすれば終わらせることができたと思う?」と問いかけながら、一緒に対策を考えましょう

春期講習

子どもたちにとってははじめての講習です。できるだけ楽しい気持ちでいられるよう配慮しましょう。また、毎日のように塾に行くため、宿題が滞りがちになります。忙しいこととは思いますが、宿題のチェックとスケジュールの管理は非常に大切です。

4月~7月

塾のペースにも慣れ、春期講習という大きなイベントが終了したことで、子どもたちの気が抜けがちな時期です。こうしたときこそ、やるべきことをコツコツ続けることが大切。塾によってはクラス分けをするテストが数回あります。長期的に見れば毎回の宿題をしっかりこなすことのほうが、その場しのぎのテスト対策よりも重要です。「上のクラスに行くためだから」という理由で宿題をおろそかにすることのないよう、くれぐれも注意してください。

夏期講習

夏期講習は1か月以上にわたり実施され、かなりの日数を通塾することになります。「暑いのに大丈夫かな……?」と思うかもしれませんが、子どもは毎日楽しく通ってくるものです。ただ、万一体調を崩してしまったときは、無理せずに休ませて問題ありません。また、冷房の関係で寒い場合があるので、必ず上着を持たせましょう

4年生の夏期講習は数時間というのが一般的。丸1日授業をやる塾はありません。午前中に塾がある場合は午後に予習や復習を行い、逆に午後に塾がある場合は午前中に予習や復習を行いましょう。まだ遊ぶ余裕があるとは思いますが、このペースを崩さないことが大切です。やるべきことはその日のうちにしっかりとやる習慣をつけてください。

9月~12月

夏期講習という大きなイベントが終わり、やはり中だるみが起きがちな時期です。授業のたびに行われる復習テストやクラス分けのための大きなテストを上手に活用し、やる気とスケジュールの管理に気を配りましょう。

中学校では運動会(体育祭)や文化祭が行われる時期なので、子どもを連れて行くのもいいですね。受験が現実味を帯びて来る6年生の秋は、やることが多すぎて中学校を見に行く余裕はありません。この時点で志望している中学校を中心に、4年生のうちから見ておくといいでしょう。

それとは別に、ご両親は学校説明会にも積極的に参加してください。学校説明会に行けば、「いままでイメージだけで志望していたけど、よく話を聞いてみるとうちの子には合わないかもな……」「いままで受験を考えもしなかった学校だけど、意外にいいかもしれない!」「今年の入試はこんな方針で問題が出題されるんだな」といった発見があるものです。将来的には、その分だけ学校選びの幅が広がります。

冬期講習

夏期講習を経験した子にとって、わずか1~2週間の冬期講習はさほど苦にならないものになっています。少し余裕があるのであれば、苦手分野の総復習をおこないましょう。

1月

5年生への意識づけをしましょう。会話のなかにも「もうすぐ5年生だね」という内容をさりげなく入れて、子どもの自覚を促すといいですね。もしも毎回の宿題さえ終わらないまま塾に行っているという場合は、5年生になる前のこのタイミングで修正する必要があります。

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5年生(4年生2月~5年生1月)

5年生は入試レベルの問題を解くための基礎固めとなる大切な時期。5年生までにほぼすべての内容を終え、6年生は復習に費やす塾もあります。問題の解き方や考え方は5年生までに身に着けるべきものという扱いになるので、しっかり勉強する必要があるのです。その意味では6年生よりも大切な1年と言えるかもしれません。

2月~3月

まずは5年生のペースに慣れましょう。通塾日が増えたり、授業時間が増えたりと4年生とは変わることがたくさんあります。新しいサイクルに対応しつつ、宿題をしっかりこなすことが大切です。

春期講習

5年生の春期講習期間はじっくりと勉強できる時期です。「予習→授業」「授業→復習」といったペースを崩さず、その日のうちにやるべきことをこなしてください。

4月~7月

学習内容が難しくなりはじめる時期です。時間がかかってもいいのでしっかり理解することを心がけましょう。親子ともに塾に慣れきってしまい、宿題の質が下がったりチェックが甘くなったりしないよう注意してください。まだまだ時間的余裕があるこの時期の過ごし方が、5年生後期の伸び方に大きく影響します。

夏期講習

4月~7月までに学習した内容を徹底的に身に着ける時期です。定着していないものがあれば、しっかり拾っておきましょう。科目によっては、入試問題に直接つながる内容が出てくる時期です。毎回しっかりと宿題をこなし、考え方を理解しておく必要があります。

9月~12月

6年生に向けて、学習内容が一気に高度化していきます。

算数であれば抽象的な概念をいかに理解できるかが大切になってきますし、国語であれば自分とは異なる立場の人物の気持ちを考える必要が出てくるのです。

スピードを追求して大量の問題をこなす必要はありません。時間をかけてじっくり考え、理解することが大切です。「急がば回れ」の気持ちを大切にしてください。

4年生のときと同じように、中学校のイベントに積極的に連れていってください。「文化祭のときの展示がとてもおもしろかった」「中学校のお姉さんたちがとても楽しそうだった」などの経験が、6年生以降のモチベーションにつながることはよくあります。

冬期講習

受験生となる6年生へのカウントダウンがはじまります。そうだとはいえ、その自覚のある子どもは稀。講師は秋ぐらいから6年生になったあとの話をはじめますが、子どもには現実味がないというのが本当のところです。

この時期には、家庭と塾が一緒になって6年生への雰囲気作りをすることが大切。「6年生になると塾には週○○回通うことになるね」「志望する中学校に合格するために、苦手な分野をおさらいしておこうね」など、「6年生」「志望校」といった言葉をさりげなく織り交ぜて会話するといいでしょう。

1月

いよいよ6年生になる直前の時期です。「宿題を全部やっているか? 質はどうか? 小テストでは点が取れているか?」などをチェックしてください。しっかりとした学習習慣ができていないようであれば、親が主導して修正するといいでしょう。

イベントとしては、6年生のクラスを決めるテストが行われます。そうだとは言え、実は対策を立てるのは困難です。毎日やるべきことをしっかりこなしましょう。

また、一学年上の受験生が入試に向かう様子を見学するのもいいでしょう。東京と神奈川では2月1日から、千葉と埼玉、関西では1月中から入試がはじまります。入試会場には各塾の関係者が受験生を応援するために集まるのが恒例。「来年はあなたもこうして入試を受けに来るのよ」「受験生のお兄さんお姉さんも塾の先生たちも真剣ね」などと話しながら見学すれば、5年生の子どもなりになにかを感じてくれるかもしれません。ただし、入試の主役はあくまでもその年の受験生です。また中学校は、近隣の方々に迷惑にならないようかなり気を遣っています。騒いだりせず邪魔にならないところで見学することを心がけてください。

5年生の終わりは、中学受験を諦める時期でもあります。「子どもが宿題さえまともにやってくれない」「やる気がなくて思うような結果が出ていない」といった状況が続いていて、今後もがんばっている姿を想像できないのであれば、深い傷にならないこの時期に決断するのも一つの選択です。

 

転塾する場合も、このタイミングでおこないます。子どもが塾に慣れ、塾が子どもを知るには、1~3ヶ月程度かかるものです。6年生の夏期講習や秋になってから塾を変えようと考えるご家庭がありますが、いい結果にはなりません。5年生の1月がラストチャンスだと考えておきましょう。

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6年生(5年生2月~6年生1月)

6年生になると通塾日や授業時間が一気に増え、家庭での学習時間も増加します。中学入試を突破するために仕方ないこととはいえ、ハードな毎日が続きます。学習スケジュールの管理をはじめ体調の管理にも配慮しましょう。

 2月~3月

6年生の学習ペースに慣れることを最優先してください。子どもへの負担が一気に増したように思えます、秋以降のことを考えると実は「まだまだ時間のある時期」。少し厳しい話になりますが、中学入試に合格することを考えると2月~3月ぐらいの負荷で音を上げてはいけません。6年生の時間の使い方を覚えて効率よく学習に取り組めるようになれば、秋以降に負担が増しても乗り切ることができます。

 春期講習

受験生としての自覚を芽生えさせる時期です。「いまの自分には××中学に合格する力はないようだ」ということをしっかりと感じさせてください。ただし、「これぐらいできなければ合格できないよ」という言い方は禁物。現在の子どもはスポーツや習い事で鍛えられている子でも、「~ない」というネガティブな言葉を使った表現に耐性がありません。「こういう問題が解けるようになるとぐっと合格に近付くよ」というポジティブな表現でやる気アップにつなげてください。

 4月~7月

春期講習までの約2か月を終えてどんなことを感じているか親子で話し合ってみるといいでしょう。話し合ったあとに感じたことを紙に書かせて、見えるところに貼ってみるのもいいかもしれません。大切なのは、子どもが自分について客観的に考えてみるということです。ここでも子どもがネガティブにならないような配慮してください。

塾によってはゴールデンウイークに集中的な授業が行われます。志望校別にクラス分けされていることが多いので、同じ学校を志望する子どものなかで自分がどの位置にいるのかを知るには最適です。

夏期講習

4年生や5年生のころとは比べものにならないほどの負荷がかかります。授業時間が長くなり宿題の量が多くなりますから、やるべきことを毎日しっかり終わらせていくことがないより大切です。たとえば予習型の塾で午後に授業がある場合は、午前中に予習を終わらせます。復習型の塾で午後に授業がある場合は、帰宅後にその日の復習を済ませてしまいましょう。内容が難しいなどの理由で終わらせることができなかった場合は、翌日の午前中を使ってもいいですね。毎日その日のうちにやるべきことを終わらせることが大切です。

個別指導塾や家庭教師を利用するのであれば、集団指導塾の内容でわからなかったところを教えてもらえるよう準備しておきましょう。

塾の夏期講習と個別指導、家庭教師の授業の内容がしっかりリンクするのが理想です。

9月~12月

通塾日や授業時間の増加、志望校対策、毎週の模試などで子どもの負担がさらに増します。卒業生に話を聞くと「6年生の秋ごろが一番大変だった」と言う子が少なくありません。肉体的にも精神的にももっとも苦しい時期だと言えるでしょう。

ただ、その分だけ子どもの学力が伸びる時期であることは確かです。やるべきことを確実にこなし、一定のペースで学習を進めていきましょう。そのためのポイントは、1週間のスケジュールを決めてしまうこと。たとえば「月曜日は過去問を必ず4教科分やる」と決めておけばリズムができます。受験勉強というと吹き出すようなやる気が必要であるように思えますが、一過性のやる気よりも静かに続く習慣のほうが重要なのです。

6年生の秋は、受験スケジュールを仮決定する時期でもあります。東京であれば、2月1日~5日までどのようなプランで受験するのか、1月校はどこを受けるのかなどを大まかに決めてください。成績の問題から志望校を変更しなければいけないこともあります。がんばっている子どもにとっては辛い現実ではありますが、その後の結果はケア次第です。志望校を変えたことによってモチベーションが下がらないよう、塾を上手に利用してフォローしてあげましょう。

冬期講習

子たちのなかにも「いよいよ入試まで1か月だ」という意識が生まれ、本気モードに入ります。演習が中心の授業となりますが、順調に勉強が進んでいる子であればかなりの点数を取った答案を持って帰ってくるでしょう。その場合は素直に褒めてあげてください。ただし、満点ということはほぼあり得ないわけですから、間違ったところは必ずその日のうちに復習させましょう。

1月

千葉や埼玉、関西で入試がはじまり、いよいよ直前期に突入します。

この時期にやることは知識の補完。社会や理科、国語の暗記分野は、覚えるだけで数点アップを狙えます。知識を詰め込むことが教育上どう評価されるかはわかりませんが、合格するためにはやるしかありません。

現状を維持する意識も大切です。いまできている計算、いま覚えている解法、いま知っている知識……。これらを失っていないか確認しましょう。もしも「前はできたはずなのにできなくなってしまった!」というものがあったら、再度できるようにしておいてください。

中学受験する4年生~6年生までのスケジュールを簡単に紹介しました。中学受験を検討している方だけでなく、すでに受験勉強をしている方の参考になれば幸いです。各時期の詳細については、個別記事にまとめていきます。ぜひ他の記事もお読みになってください。

 

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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