説明文や論説文では、本文中の接続語を埋める問題が定番中の定番。塾の模試や定期的なテストで出題されるのはもちろんのこと、入試本番でも多くの中学校で問われます。配点は1問2~3点が一般的。ただ、3~5問出されることを考えると、決して軽視できません。
こうした接続語の問題を解くには、各接続語の役割や使い方を覚える必要があります。「慣れればなんとなく解けるわけではないんですか?」との質問をいただいたことがあるのですが、残念ながらそうではないのですね。
また、接続語の理解は本文自体を読むうえでも大変重要。接続語を知らないために文意を読み間違ってしまうこともあります。
そうであるにもかかわらず、入試直前でも接続語の使い方や役割を身につけていない受験生は少なくありません。
各接続語にはどのような役割があり、どのような使い方をするのでしょうか。この記事では、どんなに遅くても6年生前期までにマスターしておくべき接続語を9つ紹介します。模試や定期テスト、過去問のお供にぜひご利用ください。
6年前期までに身につけておくべき9つの接続語
まず、接続語にはどのようなものがあるのでしょうか。
・順接
・理由の説明
・逆接
・言い換え
・例示
・列挙
・並列
・添加
・選択
文法用語的に説明すると、このようになります。ただ、中学受験生が文法用語を知っている必要はありません。接続語それぞれの役割や使い方を覚えておきましょう。
順接(だから、したがって、そのため など)
代表的な接続語のひとつが「順接」です。順接の接続語の特徴は、接続語の前が「原因・理由」、後ろが「結果」になっていることです。つまり「因果関係」が成立するのですね。例文をあげてみます。
この例文では「風邪を引いた」のが原因で、「学校を休んだ」という結果になっていますね。このように前後で「因果関係」になっているのが、順接の接続語の特徴です。
【順接の接続語】
・だから ・したがって ・そのため
・そこで ・それゆえ、 ・すると
など
理由の説明(なぜなら)
理由の説明は、順接の反対だと考えるとわかりやすいでしょう。接続語の前に「結果」、後ろに「原因・理由」があるのです。
この文の場合、「学校を休んだ」が結果で、「風邪を引いたからだ」が原因になっています。このように順接と語句の順番が入れ替わっているのが、理由の説明の特徴です。
「なぜなら」を埋める問題が出た場合、そのあとに(ほぼ)必ず「から」という理由を表す言葉があります。これを覚えておくだけで、難易度は一気に下がります。
【理由の説明の接続語】
・なぜなら ・だって
・というのは ・というのも など
逆接(しかし、ところが、だけど など)
逆接の接続語は、中学受験生にとってもっともメジャーだと言えるかもしれません。また直観で解けることが多く、ほとんどの受験生が正解します。文字通り、接続語の前後が反対の内容になるのが特徴です。
これは説明不要かもしれません。本来、「風邪を引いた」ら学校を休むべきです。しかし、「学校に行った」わけですから、「しかし」の前後が逆の内容になっています。これが逆接の使い方です。
【逆接の接続語】
・しかし ・しかしながら ・ところが
・でも ・だけど ・なのに
・そうであるにもかかわらず
・そうはいうものの など
入試直前期には、受験生にとって馴染み深い逆説を埋めるのさえ難しい問題にあたることがあります。もし解けない問題が出てきたら、理屈をしっかり確認しておきましょう。
言い換え(つまり、すなわち、要するに)
お子さんたちに『「つまり」って何の接続語?』と問いかけると、ほとんどの場合「まとめ~!」と返ってきます(もしよろしければ、お子さんに聞いてみてください)。お子さんたちの答えは、「半分正解で半分間違い」です。
「つまり」は「まとめ」の接続語ではありません。「言い換え」の接続語です。例を出してみます。
「才能豊かな子でも、学習を怠ると6年生後期に失速する傾向がある」だけだと意味がはっきりしません。「結局なにが言いたいの?」という疑問に答えるために言い換えたのが、「才能だけで中学受験を突破するのは難しい」という内容です。
このように、「つまり」の前の内容を、「つまり」の後ろで言い換えるのが、「つまり」の使い方ということになります。
繰り返しになりますが、「つまり」は「まとめ」ではなく「言い換え」の接続語だと覚えておきましょう。
「つまり」の前後を確認すると、基本的には「つまり」の前に長い内容があり、「つまり」の後ろに短い端的な内容が書いてあるものです。しかし、稀に「つまり」の前のほうが短く、「つまり」の後ろのほうが長い場合があります。「つまり」の後ろに「まとめ」があると覚えてしまうと、端的に表現されていない部分に注目してしまうことがあります。
【言い換えの接続語】
・つまり ・すなわち ・要するに
例示(たとえば)
受験生にとっては、例示の接続語も親しみのあるものなのではないでしょうか。代表的なものは「たとえば」ですね。当然、「たとえば」のあとには具体例が続きます。
このように、「たとえば」の後ろには具体例が書かれています。これが例示の接続語の使い方です。
列挙(第一に&第二に、一つは&もう一つは、まず&つぎに など)
列挙とは、物事を一つひとつ並べあげることを言います。
2種類のブラックバスを「一つ」「もう一つ」と並べました。これが列挙の使い方です。
列挙に気づくと、文章を整理しながら論理的に読めるようになります。本文に出てきたときは丸で囲むなどの印をつけて、列挙であることを意識しましょう。
並列(また、および、ならびに など)
並列の接続語は、複数のものを並べるときに使うものです。
並列の接続語「また」の前後に得意なものが並んでいますね。これが並列の使い方です。
【並列の接続語】
・また ・および ・ならびに ・や
・とか ・同じく ・同様に
など
添加(しかも、さらに、そして など)
添加は「つけ加え」の意味だと考えるとわかりやすいでしょう。接続語の前の内容に後ろの内容をつけ加えるときに使う接続語です。
ポイントは、プラスでもマイナスでも、同じ方向のものをつけ加えるときに使うということです。つまり、以下のような文は成立しないことになります。
【「しかも」の使い方を間違えている例】
この品質は質がいいのが特徴です。しかも、価格が高いのであまり売れていません。
添加の接続語は、同じ方向のものをつけ加えるときに使うのだと覚えておきましょう。
【添加の接続語】
・しかも ・さらに ・そして
・そのうえ ・おまけに など
選択(または、あるいは、もしくは)
選択の接続語には、は2つ以上のものから(少なくとも)1つを選ぶ役割があります。
この文章の場合、石油を単純に「節約」するか、「別のエネルギーで代替する」かの2つの選択肢があります。少なくとものそのうちの1つを選択すれば、石油の枯渇を防げるということになります。
列挙、並列、添加、(選択)は、記述問題の解答に書くべき要素を見つけるときにも大切です。これらの前後にある内容は、いずれも解答の要素になります。
まとめ
6年生前期までにマスターしておきたい接続語をまとめました。このほかにも「話題の転換」「対比」など大切なものがあります。ただ、これらは接続語としてよりも、読解の学習のなかで身についていくものです(「列挙」なども、やはり読解の学習で触れるものではあります)。
「6年生前期までに」としましたが、早く覚えるほど国語の学習が楽になります。6年生後期に集中して志望校対策できるように、なるべく4、5年生のうちに身につけられるといいですね。