「受験」の世界で多くの生徒さんが超えようとしているものの一つが、「偏差値60の壁」です。筆者は普段、中学受験生と一緒に学習していますが、これは中学受験に限らず、高校受験、大学受験でも同じなのではないでしょうか。
偏差値60以上を取れるのは上位15.87%の人。よく「偏差値60を超えると見える世界が変わる」と言われることがあります。つまり、受験できる学校の選択肢の幅が広がるのですね。特にサピックスで偏差値60を超えると、いわゆる「難関校」の受験が現実的になってきます。
今回はサピックスで偏差値60を突破するための意識と学習法を紹介します。「偏差値60を突破して難関校を目指したい!」という受験生・ご家庭の皆様のマニュアル的に使っていただければと思います。
サピックスでの偏差値60とはどういうものか
まず、サピックスで偏差値60を突破した受験生の立ち位置とはどのようなものでしょうか。
偏差値60を超える受験生は基本的にαコースに所属している
サピックスではコース(クラス)が、大きくα(アルファ)とアルファベットに分かれています。学力順にコースを並べた際、上から「α1、α2、α3……」とあったあとに「R、Q、P……A」と続くのです。(αコースの数、アルファベットコースの数は校舎の規模によって異なります。)
偏差値60の受験生は基本的にαコースに所属しています。サピックスでは「まずは(各校舎上位である)αコースを目指そう!」という受験生が多いのですが、偏差値60を突破すればたいていはαコースに所属することができます。
偏差値60を超えると難関校の受験が現実的になる
サピックスで偏差値60を突破すると、中学受験の世界の難関校の受験が見えてくる、あるいは現実味を帯びてきます。
【偏差値60を突破すると受験が見えてくる、あるいは現実的になる難関校】
●男子校
筑波大駒場 開成 麻布 駒場東邦 武蔵 海城 早稲田 慶應普通部 聖光学院 栄光学園 灘 西大和
●女子校
桜蔭 女子学院 雙葉 洗足 フェリス
●共学校
渋谷教育学園渋谷 渋谷教育学園幕張 筑波大附属 慶応湘南藤沢 慶応中等部 栄東(東大特待)
いずれも中学受験の難関校・最難関校と言って差し支えないだろうと思います。実際には筑波大駒場や開成、桜蔭、灘などを受験するにはさらに高い偏差値を目指したいところではありますが、まずは偏差値60を超えなければ土俵に立てません。
このようにサピックスでの偏差値60は、難関校を受験するために超えるべき一つのハードルなのです。
サピックスで偏差値60を突破するための基本的な考え方
サピックスで偏差値60を取るためには、どのような意識で学習すればいいのでしょうか。
大切なことは、授業で教わったことや家庭学習として課せられていることを毎週しっかり身につけていくことです。
中学受験塾は小学生が通う場所です。一般論として、たくさんの小学生が通っていることを考えれば、塾に「友だちと楽しむために来ている」生徒さんがいるのは仕方ありません(もちろん好ましくはないのですが……)。
ただ、偏差値60を目指すのであればこういった生徒さんに引きずられずに、授業中にできるだけのことを吸収して帰宅することが大切です。「友だちと楽しむために」サピックスに通っているのではなく、「授業を楽しむために」サピックスに通っていることを忘れないようにしたいですね。
授業中に吸収したら、家庭学習で復習します。これによって学力の定着を図るのですね。ただ、国語の場合、「漢字の要」や「言葉ナビ」など授業で扱われていない内容があります。家庭学習ではこれらにもしっかり取り組んでいく必要があります。
「授業を疎かにしても、家で家庭学習をがんばればいい」と考える受験生が時々いますが、本末転倒です。「授業中に可能な限り吸収する→家庭学習で定着させる」という意識をしっかり持っておきましょう。
【授業の受け方・参加の仕方】
- 先生の話をしっかり聞く。
- 先生の話を聞きながら考える。
- ノートやメモを必ず取る(必要以上にカラフルにする必要はありません。キラキラしたノートを取ることが目的にならないように注意)
- 指示された課題には必ず取り組む
これはサピックスに限ったことではありませんが、集団塾というのは文字通り大勢の受験生が同じ教室で授業を受けているものです。先生からの問いかけに対して、自分が考えなくても、誰かが答えれば授業が進んでしまいます。偏差値60を目指すのであれば、このような“映画館的な”授業の受け方はよくありません。自分の頭を使って考えて授業に参加しましょう。
【重要】漢字・語彙などの知識を長期的に身につけていくことが大切である2つの理由
「国語の偏差値60を目指す!」というと、読解にばかり目が向きがちです。もちろん、最終的には読解問題ができなければ得点は伸びていきませんので、これは正解です。
それでは読解の学習ばかりすれば、あるいはテクニックばかり身につければ、国語の偏差値は上がっていくのでしょうか。実際はそんなことはありません。まず重要なのは漢字や語彙といった知識分野であるという意識を持っておきましょう。
サピックスでの知識分野を扱う具体的な教材は以下の通りです。
- 漢字(国語Aテキストの後半に掲載)
- 漢字の要(漢字の学習を目的的とした教材)
- コトノハ(5年生までの国語Aテキスト)
- コトノハ実践編(6年生前期の国語Aテキスト)
- 言葉ナビ上下巻
- 知の冒険(国語Aで数回に1回の頻度で実施されるもの)
こうした知識分野は、なぜ大切なのでしょうか。理由は主に2つあります。
知識分野はテストの得点の土台を作る
まずは漢字や語彙といった知識が得点のベースを作るということです。
知識分野はマンスリーテストや組分けテストの大問1、2で出題されます。ほぼ毎回、配点は40点。また、大問1、2だけでなく、大問3、4のなかで言葉の知識が問われることも多くあります。そう考えると漢字や語彙などの知識分野だけで30%弱の配点があることになるわけです。そうであれば、まずはここでしっかり正解することで得点のベースを作るのが大切であることは、当然だと言えるのではないでしょうか。実際、偏差値60を超える受験生の多くがここでの失点を最小限に抑えています。
見落としがちですが、マンスリーテストでは「コトノハ」に出てきた言葉がマンスリーテストに出ることがあります。しっかり学習しましょう。
知識があるから本文や選択肢を読める
国語のテスト全体の得点のベースを作ること以外にも、知識分野の学習が大切だと言える理由があります。それは漢字や言葉の知識があるからこそ、読解問題の本文や選択肢を読めるということ、そして記述問題の答えを書けるということです。
サピックスの5年生後期~6年生前期の国語A授業のテキストに「今日のコレいち問」というものがあります。これは入試でよく見るタイプの問題の解法(解き方)を学ぶものです。「設問のどんな言葉に注目すべきなのか」「何を根拠に本文のどこを読むべきなのか」といった解法のテクニックのようなもので、筆者は非常に意味のあるものだと考えています(実際、サピックスの国語科がとても大切にしているものです)。
しかし、せっかく読解の技法を覚えても、肝心の本文に書かれている言葉がわからなければ答えを出せない可能性が高くなります。また、選択肢には本文の言葉と同じ意味の別の言葉が並んでいるものです。せっかく本文に書かれている内容がわかっても、同じことが書かれている選択肢がわからなければ正解できません。
「国語で大切なのは読解!」「国語の本質は読解!」と言われることがあります。筆者ももちろん、これには賛成しています。ただ、読解のベースとなる言葉の意味がわからなければ、せっかくの読解のテクニック・技術も効果は半減してしまうのです。
漢字や語彙といった知識分野を疎かにせず、長期的にコツコツ学習することが偏差値60の突破につながります。
国語Aテキストの漢字・漢字の要・言葉ナビの学習法
ここからは偏差値60を突破するため、各教材の具体的な勉強方法について紹介していきます。
漢字や言葉ナビは国語Aのデイリーチェックテストの範囲になっています。その名の通り、日々の学習の成果を確認するテストです。1週間という短期的な学習をデイリーチェックテストでしっかり確認することを繰り返すことが、長期的な学習の成果へとつながっていくのだというイメージを持ちましょう。
サピックスの国語で偏差値60を超える受験生のほとんどは、このデイリーチェックテストで毎回90点以上を取っています。言い方を変えると、偏差値60を超える受験生のなかにデイリーチェックテストで90点未満を取るほとんど受験生はいないということです。さらに別の言い方をすると、サピックスでまず目指すことになるαコースにデイリーチェックテストで90点未満を取る受験生はいないということになります。
家庭教師のご相談でお問い合わせをいただいてお話ししていると、「デイリーチェックはよくできているんです。毎回70点ぐらいは……」とおっしゃることがあります。模試や入試の7割であれば高得点と言えますが、1週間分の復習テストであるデイリーチェックテストの場合、心許ない得点だと考えましょう。
それでは漢字や知識分野の学力を定着させるためには、どのような勉強をすればいいのでしょうか。
大切なことは国語Aの授業を受けてから翌週の国語Aの授業を受けるまでの1週間で、何度も繰り返し学習することです。ただし、デイリーチェックを受ける前日に慌てて何回も漢字を書いても大きな効果は期待できません。1週間かけて繰り返していくことが重要です。
効果的なのは次のやり方です。過去に書いたこのサイトのなかの記事を引用します。
この方法にすることで、繰り返し同じ漢字を学習できるだけでなく、結果としては効率的に漢字を身につけていけます。
- 書き取り20問、読み取り20問を、3回ずつ書く。答えを見てもOK!。
- 3回ずつ書いたあと答えや自分が書いたものを隠して、その日のうちにテスト形式で確認。
- 別の日に、間違えたものだけを再び3回ずつ練習&テスト形式で確認。
- さらに別日に、3で間違えたものだけを3回ずつ練習&テスト形式で確認
1週間後(次の授業のデイリーチェックテスト)までに、この手順で学習していきましょう。
お気づきかもしれませんが、このやり方では「手順1」の負担がもっとも大きく、「手順4」のころには負担がかなり軽くなっています。
サピックスのマンスリーテスト、国語の対策法|高得点を取るためにどう勉強する?
「1週間かけて繰り返す」というと非常に大きな負担になりそうな気がしますが、このやり方であればさほど大きな負担にはなりません。ぜひ試してみてください。
コトノハの学習の注意点
コトノハは5年生後期までのA授業のテキストに掲載されているものです。見開き1p~1.5pの短い文章のなかに(文章はページの上半分にしかないため、実際は見開き1p分の文章量よりも少ないと思います)、各学年の受験生が知らないのではないかと思われる言葉、あるいは知っておいてほしい言葉が多数使われています。本文のなかから知らない言葉を拾い出して意味を調べるのと同時に、本文を読みながらどのような文脈で使われる言葉なのかを理解しましょう。
たとえば「52A-20」テキストのコトノハ「ひと夏の夢」の文章には、「喧噪」「老舗」「畦道」「ひなびた」「所在なげ」「たたずむ」などなど、受験生が知らないと思われる20個近い言葉が文章全体に散りばめられています。こうした言葉を一つずつ身につけていくのが、コトノハの目的です。
基本的には、サピックスの授業ですべて意味を理解して帰ってきているはずですが、自宅での家庭学習では本当に覚えているか、身についているかを確認するといいですね。
コトノハの本文のあとには「練習問題」が掲載されています。時々、「この練習問題をやればいいんじゃないんですか?」と質問を受けることがあるのですが、上記のように文章中の言葉をしっかり学習するのが目的の教材です。練習問題に取り組むだけでは効果が半減してしまうので注意したいですね。
国語Aの読解メソッド・解法メソッドを大切に!
読解の学習でまず大切なのは、国語Aの教材です。国語Aの教材には「読解メソッド(5年生前期まで)」「解法メソッド(5年生後期以降)」が載っています。
「読解メソッド」は文章の読み方を学ぶもの、「解法メソッド」は問題の解き方を学ぶものです。比較的短めで簡単な文章であることが多いため軽視されがちですが、だからこそ基本的な読み方、解き方を学習するのに適しています。
「読解の学習=難しい問題を解くこと」と考えて、5年生のうちから入試問題を解かせてしまう親御さんがいらっしゃいますが、残念ながら効果は期待できません。最難関校の入試も基礎的な内容が身についているからこそ解くことができるのだいう意識をしっかり持っていただきたいなと思います。
読解メソッドの勉強法
読解メソッドは5年生前期までのA授業のテキストに掲載されているものです。問題を「解く」ためのベースとなる、文章を「読む」方法を学びます。
テストや演習のように「本文を読んで答えを出す」だけでは、読解メソッドの効果は半減です。本文の下の「文章を整理しながら読もう!」という欄に本文のどこに注意する必要があるかが書かれていますので、本文に線を引くなどして必要なことを考えながら読みましょう。
たとえば、「52A-20」テキストの読解メソッドの本文下には、「筆者はどのようなことを伝えようとしているのかな?」「筆者の言いたいことが書かれていることに気づいたかな?」などが書かれています。本文を漠然と読むのではなく、こうしたポイントについて考えながら読みましょう。
また、「解答解説」の冊子には読解メソッドの文章が再掲され、さらに詳しい解説が書かれています。可能であればここまでしっかり確認すると、文章の読み方をかなり深く学べます。
こうしたことを繰り返すことで、別の文章を読むときにも気を付けなければならないことに気づけるようになっていくのですね。
解法メソッドの勉強法
解法メソッドは5年生後期から6年生前期にかけてA授業のテキストに掲載されているものです。5年生前期までに取り組んでいた読解メソッドが本文の読み方を学ぶものだったのに対し、解法メソッドは問題の解き方を学ぶものです。
読解メソッドと同じように「本文を読んで答えを出す」だけでは効果は薄いと考えられます。本文下の「本文を整理して読もう!」欄にある「読解虎の巻」に書かれたことについて、しっかりと考えながら読む習慣をつけるといいですね。
解法メソッドには、本番の中学入試で出題されてもおかしくないような典型的な問題ばかりが載っています。それぞれの問題に対して「どのような手順で解けばいいのか?」を考えて身につけていくことが大切です。
解法メソッドのなかに用意されている「今日のコレいち問」は、典型的な問題の解法を毎週一つずつマスターできるうように設計されています。各種講習を除く平常授業は40回弱ですから、「今日のコレいち問」をしっかり学習することで40個弱の方法論・ノウハウを学習できる設計になっているわけです。
この「今日のコレいち問」のなかで学習したことを国語Aの読解演習や国語B、6年生からはじまる土曜特訓の演習で活かすことによって、力がついていきます。
国語Aの読解演習も忘れずに!
国語Aのテキストには、漢字やコトノハ(コトノハ実践編)、読解メソッドや解法メソッドのほかに「読解演習」が掲載されています。毎回の読解メソッドや解法メソッドで学習したことを、少し長めの文章の問題で練習していくためのものです。目標時間をたとえば20分ぐらいに設定して、問題を解いてみましょう。制限時間内に解き終わらなければ時間を延長しても構いません。
解き終わったら丸つけをしましょう。大切なことは正解が多いか少ないかを必要以上に気にしないことです。「解答解説」の冊子に詳しい解説がありますので、不正解になってしまった問題についてはしっかり確認しましょう。この解説を一つひとつ理解していけば、それだけで偏差値60に近づくための学習になります。
また、5年生後期から6年生前期までの読解演習には、解法メソッドの「今日のコレいち問」で学習した解法を使って解く問題が1問はあります。授業で学んだ解法を、家庭学習ですぐに実践できるようになっていますので、しっかり取り組みましょう。
国語Bで長文を読むなかで、社会人として必要な教養を身につけ、思考力と記述力を養う
国語Bテキストには国語Aテキストに掲載されているのよりも、長めの文章が掲載されています。国語Aの読解演習が4p程度であるのに対して、国語Bの文章は10ページ以上あることが多いようです(説明的文章の場合、ページ数としては少なくなることがあります)。
「さすがに長いのでは」と感じてしまうかもしれませんが、入試の本文と比較して長いわけではありません。昨今、入試問題の本文は長文化しており、むしろBテキストの文章であれば標準的~短めと捉えることもできます。
また、長い文章を一つだけ取り上げ、15個以上の設問に50分じっくり取り組むことを求める入試問題も増えています。その意味でも、国語Bの文章が特別に長いものであるとはやはり言えないでしょう。国語Bテキストに取り組むことで、長い文章に慣れましょう。
こうした長い文章を読むなかで、まず大切なのは社会を生き抜く人として知っておくべき教養を身につけることです。
中学受験で出題される文章には、さまざまなテーマのものがあります。「親子・兄弟の愛情」「友情」「いのち」「戦争」「都会の子・田舎の子」「貧困」「病気」「記号論」「自然科学」「科学技術と人間」「建築」「美術」などなど、あらゆるテーマの文章が出題されるのです。国語Bではこうした文章に触れながら、社会人として必要な知識や考え方を身につけていきましょう。
また、文章を論理的に捉える力も大切です。文章に書かれていることを理屈通りに理解できるよう頭をフル回転させましょう。
国語には問題を解くための技術・テクニックが必要です。しかし、せっかくの技術・テクニックも、それを活かす土台がなければ効果が半減してしまいます。国語Bの文章を読みながら、あらゆるテーマのあらゆる知識を頭に入れながら、論理的な思考力を養っていきましょう。
そして、論理的な思考力を養うのに役立つのが記述問題です。国語Bのテキストには選択問題や抜き出し問題も用意されていますが、ほとんどは記述問題です。典型的な記述問題が数多く出題されているので、考え方や答え方をしっかり身につけることがそのままマンスリーテストや組分けテスト、もちろん入試の対策になります。
典型的な設問と考え方のパターン
よくある設問と考え方のパターンを紹介します。
念のためですが、以下に挙げるのはあくまでも一例です。また、考え方や答え方を簡単に説明していますが、これだけですべての問題が解けるわけではありません。あくまでも覚えておきたいこと、身につけておきたいことの一例です。
設問の文言 | 考え方・答え方など |
気持ちの変化を答えなさい。 | 「変化前の気持ち→きっかけ→変化後の気持ち」の順に書く。 |
気持ちを答えなさい。 | 人物の気持ちを答える。 ※傍線部や傍線部の直前直後に気持ちを表す言葉があることが多い。 ※答えの気持ちになる理由も一緒に書く。 (4年生Bテキストでしっかり学習しましたね) |
人物の様子を答えなさい。 | 様子を答える ※傍線部や傍線部の直前直後に様子を表す言葉あることが多い |
なぜですか どうしてですか | 理由を答える |
どういうことですか | 傍線部を言い換える。 ※傍線部が比喩表現であることが多い |
○つ答えなさい。 | 要素を○つ書く。 ※本文中に列挙の言葉があれば答えを出しやすい。 |
順を追って説明しなさい | 論理・理屈を理解してその順番に説明する |
この例(話題)を通して筆者が言いたいことを答えなさい | 例(話題)のあとにまとめて書かれていることがある |
こうして一覧にしてみると、「こんなにたくさんのパターンに対応できなければいけないの?」と驚くかもしれませんね。しかし、偏差値60を超える生徒さんたちは、この一覧にあることの多くを実践しています。
国語Bテキストの家庭学習の優先順位と学習法は?
国語Bの家庭学習の優先順位は「授業で取り組んだ問題」→「授業で取り組まなかった問題」です。まずは授業で取り組んだ問題について、しっかりと復習しましょう。取り組む手順は以下の通りです。
- 本文を読み直す(必ず読み直してください)
- サピックスの授業中に取ってきたノートやメモから、設問のどこに注目するのかを確認(必ず「なぜ、そこに注目するのか」といった根拠を持つことが大切です)
- 自分の解答のどこがまちがいなのか、どの要素を入れる必要があるのかを確認し、考える。
- 担当講師から図解するよう求められている場合は、ノートの下段部分に書く
- 直した答えを自分で書く。
大切なことは手順4の通り、必ず自分の手で書き直し・修正をおこなうことです。サピックスで取ってきたノートやメモ、模範解答や解説を見ても構いません。「なぜ模範解答にはこの要素が入っているのか?」「なぜこの要素を書かなければならないのか?」をしっかり考えることが大切です。くれぐれも模範解答を見て、「ふーん、これを書かないといけないんだー」で終わらないように気をつけてほしいなと思います。
生徒さんの「書き直し」を見ると、自分の答えに足りない要素だけを「+うれしかった」というように、元の答えに書き足しているだけということがよくあります。答えをすべて書き直すのは面倒だから……という気持ちはわかるのですが、これでは記述力は伸びません。偏差値60を目指すのであれば、必ず最初から最後まですべて書き直すようにしましょう。
サピックスで偏差値60を取るための具体的な記述問題の考え方や対策法は、以下の記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
平常授業で身につけた力を土曜特訓で試す
6年生になると土曜特訓(土特)がはじまります。土曜特訓は国語AやBで身につけた読み方、解き方を試すための演習授業です。たとえば45分で2つの大問を解くように指示されるのでテストと同じように真剣に取り組み、時間内に最後まで解き切る意志を持つことが大切です。
また、土曜特訓は授業時間が一コマ75分やや短く、形式も平常授業とは異なるため、「平常授業とは別のもの」と認識してしまう受験生がいるようです。しかし、先ほどお伝えした通り、土曜特訓は平常授業で学習したことを試す場です。読解メソッド、解法メソッド(今日のコレいち問)、国語Bで身につけたことをしっかり活かして問題を解く意識を持ちましょう。
家庭学習のやり方としては、国語Bと同じでいいでしょう。
新6年生がはじまったばかりの2月、3月は演習の色の薄い授業が展開されることがあります。
サピックスの国語で偏差値60を突破するための勉強法と覚えておきたい需要事項 まとめ
- サピックスで偏差値60を超えると、難関校の受験が見えてくる
- まず大切なのはサピックスの授業。授業を疎かにして家庭学習でカバーすることを前提としない
- サピックスの国語で偏差値60を突破するために、漢字・語彙などの知識分野はしっかりと
- 知識分野の学習は、1週間かけて繰り返すことが重要
- 読解メソッド・解法メソッドは「解答解説」の冊子を参考に、文章の読み方・解き方を確認
- 読解演習は読解メソッド・解法メソッドで学習した技術を練習する
- 国語Bでは社会を生き抜く人として必要な教養を身につけ、論理的な思考力と記述力を養う
- 土曜特訓は平常授業(国語A、B)で培った力を実践的に試すための授業
今回はサピックスの国語で偏差値60を取るための勉強法と覚えておきたい重要事項を紹介しました。偏差値60を目指す途中で道に迷いそうなとき、あるいは迷ってしまったときの道しるべのようなものとして活用していただけるとうれしく思います。
みなさんの中学受験が少しでもいいものになりますよう……!