中学受験塾の偏差値表を見ていると、同じ中学校が複数回入試を実施していることに気づきます。志望校が何回も入試をおこなっているということは、合格のチャンスが広がるということ。受験生としては嬉しいことです。この他にはどのようなメリットがあるでしょうか。デメリットと一緒に紹介します。
同じ中学校を複数回 受験することのメリット
複数回受験にはどのようなメリットがあるでしょうか。
試験の問題が似ていることがある
入試を複数回実施している中学校では、たとえば1回目の試験と2回目の試験で同じような問題が出題されることがあります。こういった中学校を複数回受験すると、1回目の試験で問題に慣れられるため、2回目以降に解きやすくなるのです。
ただ、複数回入試を実施しているすべての中学校に、こうした特徴があるわけではありません。1回目と2回目の問題がだいぶ異なっていることもあります。
自分の志望する中学校の過去問を1冊解けば、どのような傾向があるのかわかるでしょう。もしわからなければ、塾や家庭教師の先生に聞いてみましょう。
複数回受験で優遇措置を受けられる可能性がある
同じ中学校を複数回にわたって受験すると、優遇措置を取ってもらえることがあります。優遇措置の内容は中学校によって異なりますが、主にこのようなものがあります。
・ボーダーラインの点数だったときに優遇してもらえる
・同日の午前午後に受験した場合、午後のテストに得点をプラス
・各科目、複数結果が出ている得点の高い数字を使って合計点を算出
・補欠合格の場合、優先的に繰り上げ合格
こうした優遇措置を取ってくれる中学校は、募集要項にその旨が記載されています。よく確認しておくといいですね。
優遇措置はあくまでもある条件に当てはまったときに取っていただけるものです。過剰に期待しすぎず、あくまでもテストの点数で合格する意識を忘れないようにしましょう。
受験費用面で優遇されることがある
入試を複数回実施している場合、受験費用の面で割安になることがあります。たとえば、渋谷教育学園渋谷の場合、以下のような受験料となっています。
・1回受験:23,000円
・2回受験:38,000円
・3回受験:53,000円
(出典:渋谷教育学園渋谷中学校「2020年度入学試験募集要項(第25期生)」)
優遇がなければ6万9000円かかるところ、1万6000円割引の5万3000円で3回受験できるのです。非常に高い割引率だと言えますね。
再チャレンジできる
冒頭に書いたように、合格のチャンスが広がるのは非常にうれしいことです。たとえば2/1に実施される入試の場合、緊張から勉強の成果を発揮できないことがあります。しかし、複数回受験があれば、緊張が解け力を出し切れるかもしれません。受験生にとって志望校に何回もチャレンジできるのは、非常にうれしいことなのですね。
同じ中学校を複数回 受験することのデメリット
中学校の複数回入試にはデメリットもあります。
スケジュールが後半になるほど偏差値が上がる
中学入試では基本的に、入試の回数を重ねるごとに偏差値が上がっていきます。
たとえば東京の芝中学の場合、2/1の偏差値は53です。しかし、2/4の偏差値は58に跳ね上がります。(※いずれも2020年度サピックス偏差値)これは2/4には開成や麻布、駒東などに不合格になったトップ層が受験に来るためです。
1回目の入試で不合格になった受験生が再チャレンジできるのが複数回受験のいいところなのですが、スケジュールの後半になるほど競う相手のレベルも上がるという点を見逃してはいけません。かなり苦しい戦いになることもあります。
複数回受験にこだわるとスケジュールが拘束される
「チャンスが3回あるのなら全部受ける!」と最初から決めてしまうと、他の中学校の受験機会を失うことになります。
たとえば、渋谷教育学園渋谷中学の場合、2/1、2/2、2/5と試験が実施されます。仮にこの日程すべてを受験した場合、2/1~5の入試期間のうち3日間のスケジュールが抑えられることになります。
先ほど述べたように、入試は後半になるほど偏差値が高騰していくものです。これは渋谷教育学園渋谷も例外ではありません。複数回受験にこだわると、渋谷教育学園渋谷を回避して別の中学校を受験すれば手にできたはずの合格のチャンスを失うことになるわけです。最悪の場合、進学する学校がなくなってしまう危険もあるので注意してください。
「第1志望校だからどうしても複数回受験したい!」ということであれば、2/1、2の午後や第1志望校の入試がない日に、ほぼ確実に合格をいただけるだろうという中学校を受験しておきましょう。
中学入試の複数回受験のメリット&デメリット まとめ
【メリット】
・試験問題が似ていることがある
・優遇措置を受けられる可能性がある
・受験料が割安になることがある
・志望校に再チャレンジできる
【デメリット】
・スケジュールが後半になるほど偏差値が高騰する
・複数回受験にこだわるとスケジュールが拘束される
中学入試の複数回受験は基本的に、受験生にとってメリットになるものです。しかし、複数回受験にこだわりすぎるとデメリットになりかねません。同じ中学校を複数回受験をするのなら、別日にしっかりとバランスを取っておくといいですね。