東洋英和女学院中等部を志望する受験生向けに、国語の入試問題の傾向と対策を紹介します。
東洋英和女学院の国語 配点、解答時間、出題の形式、難易度、合格者平均点
・国語の配点:100点
※算数:100点、理科:60点、社会:60点
・国語の時間:45分
※算数:45分、理科30分、社会30分
・形式:
A日程/長文読解2題 or 1題
B日程/長文読解2題
※形式はあくまで傾向です。年度によって異なります。
※漢字の独立した大問はなく、読解問題のなかで5~6問出題されます。
・難易度:標準的
・国語の合格者平均点 65~80点程度
※2019年A日程は82.6点と高得点の競争となりました。
算数と国語が100点、理科と社会が60点。いわゆる「傾斜配点」です。
問題の難易度は「標準的」だと言えます。たとえばサピックスの偏差値表では40台後半(46~47程度)に載っていますが、組分けテストやマンスリーテスト、サピックスオープンで偏差値が取れているのであれば、一定の精度で解けるでしょう。ただし、これはあくまでも入試直前期のお話です。夏期講習前に46、47の偏差値を取っているからといって、「すでに合格レベルに達している」と安心しないよう注意しましょう。
東洋英和女学院 国語の傾向と対策
東洋英和学院中等部の入試は、以下のような形式で実施される傾向があります。
A日程
・物語文1題(8000~8500字程度 ※スペース込み)
あるいは
・物語文1題(4000~8000字程度 ※スペース込み)+論説文(3000~4000字程度スペース込み)
B日程
・論説文、説明文、随筆文、詩歌の鑑賞文などのなかから2題(合計6000~8000字程度×1題 ※スペース込み)
基本的には読解問題2題という形式ですが、2019年度入試のA日程と2018年度入試のA日程では長めの物語文1題という形式でした。全体的な文章量は減少する傾向にあり、比較的じっくり考えられるようになってきています。
入試問題の傾向と対策
問題の傾向と対策を紹介します。
本文の傾向
東洋英和女学院中等部では、標準的な入試レベルの文章が出題されます。
・物語文…ややわかりづらい文章が出されることがありますが、丁寧に読めば感情や物語上の事実関係がわかるものばかりです。「難解」と言えるほどの物語文は出題されません。
・論説文・説明文…「抽象的表現と具体的表現の区別をつける」「文章中の対比に気づく」など、基本的なことができれば、さほど苦労することなく読み取れるはずです。
・その他…B日程では詩や短歌の鑑賞文が出題されたことがあります。本文を読めば理解できることもありますが、詩や短歌から意味を読み取れるほうが有利です。また、随筆文は説明文に近いものが出題される傾向があります。やや抽象的な印象を受けるかもしれませんが、論理的に読めば問題ありません。
大手塾に通っている受験生であれば、何度かは触れたことがあるテーマの文章が取りあげられます。随筆文については「こういう文章って苦手なんだよね」という声が聞こえてきそうですが、東洋英和の受験を考えているのであれば日頃からしっかり学習しておきたいところです。
問題の傾向と対策 合格するために必要なことは?
東洋英和女学院中等部の入試問題からは、総合的な国語力を問おうとする姿勢が強く感じられます。
・漢字の書き取り、読み取り問題
・本文に接続詞を入れる問題
・本文に副詞を入れる問題
・語句の意味を問う問題
・文法問題
・指示語の示すものを答える問題
・本文中で起きたことを順番に並べる問題
・傍線部に合う気持ちを選ぶ記号選択問題
・気持ちの変化を記述する問題
・本文の出来事と自分の経験を照らし合わせて答える問題 などなど……
さまざまな問題を織り交ぜることで、多角的な国語力が問われます。文章の読み方、問題の解き方を身につけるだけでなく、文章のなかに出てきた言葉の意味や読み方を調べる、基本的な文法事項を覚えるなど、総合的に学習する姿勢が合格するために必要となります。
ただ、繰り返しになりますが、問題の難易度は標準的です。問題の一例をあげてみます。まずは知識問題です。
問八 本文中のア~エの「ない」のうち、はたらきのちがうものを一つ選び、記号で答えなさい。
ア 気が付かない
イ 一文にもならない
ウ おろかなことなのではないかと思います。
エ しかめ面をしないで、(2019年度B日程 大問一 問八)
「ない」を識別する文法問題です。正解はおわかりの通り「ウ」となります。もし悩むとしたら「エ」ですが、「ア」「イ」と同じく助動詞の「ない」であることは、塾で繰り返し教わっているはずです。さほど問題なく正解を選べるでしょう。文法分野に限らず、知識系の副教材やプリントにコツコツ取り組むことが大切ですね。
読解問題についても一例をあげてみます。
問二十 「どこにも出かけたことのなかった祖父母に豊かな旅の記憶があったことに私はおどろき、やがて甘い花のかおりで胸のなかが満たされていくのを感じていた」から、「私」のどのような気持ちがわかりますか。「私」の「祖父母」に対する見方・とらえ方が今までとどのように変わったかにふれて、自分の言葉で説明しなさい。答えは左の解答らんに書きなさい。
(平成29年A日程 問二十)
気持ちの変化を答える問題です。基本的には「変化前の気持ち→気持ちが変化するきっかけ→変化したあとの気持ち」の順に説明すれば正解になります。大手塾に通っている受験生なら、4、5年生から何度も何度も取り組んできたはずです。本文から必要な要素を読み取り、形通りに表現する練習を繰り返していれば、高得点を狙えたでしょう。
東洋英和女学院中等部では、自分の経験を書く問題が出題されることもあります。
問十一 雅之君は、「日々の色合いが絵具を並べたようにあざやかになっていった」経験をしました。あなたの中で同じような経験をしたことを思い出して具体的に書きなさい。どのようなことをきっかけにしたのかがわかるように書くこと。
(2019年A日程 問十一)
自分の経験を書く問題では、登場人物がどんな経験をしてどんなふうに変わったのかを書く読み取り、それと同じ構造で答えを書くことが求められています。自分の経験を書くのですが、まずは本文をしっかり理解することが大切です。
まとめ
東洋英和女学院中等部の入試問題では、総合的・多角的な国語の力が問われます。別の言い方をすると、4年生~6年生までに教わったことを一つずつ身につけてきた受験生が正当に評価される問題であると言えるでしょう。
もちろん、4、5年生で取りこぼしがあったからと言って合格できないわけではありません。身につけられなかったことがあれば、入試までに補強すればいいのです。「こういう文章は苦手」「こういう問題は好きではない」など好き嫌いをせず、あらゆるジャンルの文章・問題にも前向きに取り組むと合格に近づきます。