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【中学受験の国語】浅野の傾向と対策|2022年も「複数テクスト」形式が継続

浅野中学の国語の傾向と対策 入試問題分析

浅野の国語の傾向と対策を紹介します。浅野といえば、聖光学院や栄光学園と並ぶ、神奈川県屈指の人気校です。2018年~2021年入試までのデータを確認すると、平均受験者数約1547人に対して、平均合格者数約620。実質倍率は約2.5倍となっています。2月1日に開成や麻布、2月2日に聖光学院や栄光学園を受験した層が多く、毎年激しい競争がみられます。しっかりした対策をしてから受験するといいですね。

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浅野の国語 配点、解答時間、出題形式、難易度、合格者平均

・国語の配点:120点
※算数:120点、理科:80点、社会:80点

・国語の試験時間:50分
※算数:50分、理科:40分、社会:40分

・形式:漢字×1題、長文読解×2題

・国語の難易度:やや難しい

・国語の平均点:50%台後半~70%台前半

国語と算数に比重が置かれた傾斜配点です。中学受験生のなかには、「理科や社会が得意!」というお子さんも多いものですが、国語と算数の配点が理科や社会の配点の1.5倍あることを念頭に対策していきましょう。

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浅野中学 国語の問題構成

・大問1:漢字の書き取り、読み取り(合計8~10問程)

・大問2:文学的文章の読解(6500字程度 ※スペース込み)

・大問3:説明的文章の読解(5500字程度 ※スペース込み)

漢字と読解2題というオーソドックスな構成です。漢字には書き取りも読み取りもあり、読解には文学的文章と説明的文章がピックアップされる傾向があります。

2021年はいったん落ち着きましたが、ここ数年は基本的には本文の長文化が進んでいます。難易度も上がっていますので、要点をつかみながら効率よく解く力が必要です。

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本文の傾向と対策

浅野中学の文学的文章は、中学受験生であれば何度も触れてきたタイプのテーマが取り上げられます。

・2021年:愛猫のルロイを失った主人公のもとに、ルロイとそっくりな猫トトがやってきます。家族はトトをルロイと呼びますが、主人公はそのことに違和感を覚える話です。取り上げられた「左手のルロイ」は、三田国際2018年(第2回)でも出題されました。

・2020年:主人公の男子高校生が、母の死後に一緒に暮らしている伯母の交際相手に会う話。やや複雑な人間関係ですが、それぞれの人物像や気持ちを読み取るという基本が大切です。

・2019年:主人公の男子中学生が津軽地方の街に転校し、その人間関係のなかで成長する話。小学生が主人公の文章のように、「東京っ子vs田舎っ子」が描かれたストーリーではありません。

・2018年:台湾から日本にやってきた「わたし」の姉が、現在は日本語学校で働いていることなどが描かれた話。人物関係がわかりづらいので、よく考えて把握する必要があります。

・2017年:主人公の少女が祖母に家を出ていくよう言われ、飛び出す話。主人公が精神的に幼いこと、祖母の愛情表現が素直でなくわかりづらいことから、うまく読めなかった受験生が多かった可能性があります。

・2016年:田舎のしきたりや神様を大事に思う少年たちが、地元を大切にするとはどういうことかを学んでいきます。「田舎っ子vs東京っ子」という構図がみられますが、少年たちの成長に注目することが大切です。

・2015年:初老の男が声を失った少女と関わるなかで、はじめて少女の声を聞き感動する話。男の目線で書かれているため、小学生にはわかりづらい孤独感が描かれています。

・2014年:主人公の「僕」が、亡き母の意外な一面とその思いに触れる話。中盤の伏線が後半に効いており、それが穴埋め問題として出題されています。浅野中学らしい抜き出し問題でした。

中学受験の文章としては典型的な、人物の精神的な成長や変化がはっきり描かれているような文章というよりは、物語の一部分がスケッチのように切り取られた文章が出ている印象です。人物像やシーンごとの気持ちを、根拠を持って読み取っていく意識を持ちましょう。

一方、浅野中学が取り上げる論理的文章からは、中学受験生に対して新しい価値観や考え方を投げかけようとしていることが感じられます。特に2017年以降、その傾向が強まったようです。

・2021年:「働く」をキーワードにした論説文と随筆文の2つの文章が、1つの大問のなかで取り上げられました。

・2020年:人の話を鵜呑みにするのではなく、「自分で考えることが大切である」と主張する文章でした。

・2019年:村上春樹さんの文章です。「小説を書く」とはどういうことなのかが、小説を書けない人との対比を出しながら語られています。

・2018年:「孤独」を怖れることに対して疑問を投げかけるとともに、その価値について論じた文章です。

・2017年:本を速く読むことと、本を遅く読むことについて書かれた文章です。

・2016年:現代の「金銭一元的な価値観」に対して疑問を呈した文章です。

・2015年:記号論です。

・2014年:「教育」とは経験の仕方や経験の方法を教えるものであることを論じた文章です。

2020年までの2~3年間、長文化する傾向がありました。多くの受験生が時間との競争に苦労したものと思われます。

2021年には長文化の傾向が落ち着きましたが、いわゆる「複数テクスト」の出題形式が採用されました。異なった2つの文章の内容を理解する必要があるため、長文を理解するのとは別の難しさがあります。大学受験では増えている形式ですので、それを意識しているのかもしれません。

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設問の傾向と対策

浅野中学の問題は、記号選択と記述問題が中心となっています。本文中の傍線部の「理由を問う問題」「言い換える問題」「気持ちを問う問題」などが多くを占めているのが特徴です。一方、単純な抜き出し問題はあまり出題されていません。

選択問題の傾向

浅野中学はストレートに解けない選択問題を出すことがあります。2017年(平成29年)大問2問6ではこんな問題が出ました。

問六 ――⑤「風美は返事に困った」とありますが、どうして「風美」は「返事に困った」のですか。その理由としてもっとも適切なものを次の1~4の中から選び、記号で答えなさい。

1、完成した雛飾りがそれほど気に入るものではなかったのに加え、「ゆうこちゃん」の家で疎外感を感じてつらい思いをしている自分の気持ちを理解してくれない「おばあちゃん」に調子を合わせる気になれなかったから。

2、あまり期待していなかった雛飾りが予想以上に立派だったのに加え、いつも意地悪なことばかり言う「おばあちゃん」が突然機嫌よく話かけてきたので、大人たちの気まぐれな態度にあきれはててしまったから。

3、いつも意地悪な「おばあちゃん」から意外にも明るく話しかけられて戸惑ったのに加え、「ゆうこちゃん」の家の雛飾りよりも立派で非のうちどころのない雛飾りを用意してもらい、文句を言うきっかけが見当たらなかったから。

4、いつも頑固な「おばあちゃん」は会話をしてもまったく楽しくなくて近寄りがたい存在であるのに加え、たいして立派でもない雛飾りを誇らしげに自慢している「おばあちゃん」の気持ちをはかりかねて、混乱してしまったから。

本文を読んでいただければわかるのですが、実はこれらの選択肢はいずれも「これが正解だね」と選べません。なぜならどの選択肢にも「間違いと思える箇所」があるからです。色をつけてみます。

1、完成した雛飾りがそれほど気に入るものではなかったのに加え、「ゆうこちゃん」の家で疎外感を感じてつらい思いをしている自分の気持ちを理解してくれない「おばあちゃん」に調子を合わせる気になれなかったから。

2、あまり期待していなかった雛飾りが予想以上に立派だったのに加え、いつも意地悪なことばかり言う「おばあちゃん」が突然機嫌よく話かけてきたので、大人たちの気まぐれな態度にあきれはててしまったから。

3、いつも意地悪な「おばあちゃん」から意外にも明るく話しかけられて戸惑ったのに加え、「ゆうこちゃん」の家の雛飾りよりも立派で非のうちどころのない雛飾りを用意してもらい、文句を言うきっかけが見当たらなかったから。

4、いつも頑固な「おばあちゃん」は会話をしてもまったく楽しくなくて近寄りがたい存在であるのに加え、たいして立派でもない雛飾りを誇らしげに自慢している「おばあちゃん」の気持ちをはかりかねて、混乱してしまったから。

黄色いマーカーをつけたところが、本文と明らかに食い違うか本文に書かれていない箇所です。このようにすべての選択肢に疑問がある場合は、2つの方法で答えをしぼっていくことになります。

a、明らかに本文と食い違う選択肢を見つける。
b、本文には直接的に書かれてはいないものの、「確かにそうとも言える……」という選択肢を見つける。
この考え方をもとに選択肢を色付けしなおすと以下のようになります。

1、完成した雛飾りがそれほど気に入るものではなかったのに加え、「ゆうこちゃん」の家で疎外感を感じてつらい思いをしている自分の気持ちを理解してくれない「おばあちゃん」に調子を合わせる気になれなかったから。

2、あまり期待していなかった雛飾りが予想以上に立派だったのに加え、いつも意地悪なことばかり言う「おばあちゃん」が突然機嫌よく話かけてきたので、大人たちの気まぐれな態度にあきれはててしまったから。

3、いつも意地悪な「おばあちゃん」から意外にも明るく話しかけられて戸惑ったのに加え、「ゆうこちゃん」の家の雛飾りよりも立派で非のうちどころのない雛飾りを用意してもらい、文句を言うきっかけが見当たらなかったから。

4、いつも頑固な「おばあちゃん」は会話をしてもまったく楽しくなくて近寄りがたい存在であるのに加え、たいして立派でもない雛飾りを誇らしげに自慢している「おばあちゃん」の気持ちをはかりかねて、混乱してしまったから。

青色の部分が「a、明らかに本文と食い違う選択肢」です。これについては「本文と明らかに食い違う」わけですから絶対に正解にはなりません。ですから、この時点でまず「2」「3」「4」は正解にはならないということになります。

それでは赤色の部分がある「1」の選択肢についてはどうでしょうか。「『ゆうこちゃん』の家で疎外感を感じてつらい思いをしている自分の気持ちを理解してくれない『おばあちゃん』」の部分は確かにはっきりと本文には書かれていません。

ただ、風美が「ゆうこちゃん」の家から一人で帰ってきた場面を見ると、「おばあちゃん」は事情を聞かず、風美の父親に対して小言を一方的に言いつのっています。そうだとすると、「1」の選択肢にあるように、「『ゆうこちゃん』の家で疎外感を感じてつらい思いをしている自分の気持ちを理解してくれない『おばあちゃん』」と言えなくもありません。他の3つの選択肢が確実に不正解であることを考慮すると、やはり「1」を正解に選ぶしかないということになります。

このようにどれも素直に正解だと選べないような選択肢が出たときは、明らかな間違いを含む選択肢を消したうえで、本文には直接書かれていないものの間違いとも言い切れない選択肢を正解に選ぶようにするといいですね。

いま説明した方法について「キズの浅い選択肢を選ぶ」と表現する先生もいます。「1、△ 2、× 3、× 4、×」のようになったときに、△と判断した選択肢を選ぶという意味です。

記述問題の傾向

記述問題は20~50字程度。長くはないのですが、正確に本文を読み取ったうえで的確に要素を入れる必要があります。しっかりした練習が必要です。かつては自分の考えを書く自由記述問題がありましたが、近年は出題されていません。文章を論理的に読めているかを問う力が重要視されています。

先ほどのお話と重複しますが、2021年入試では「複数テクスト」の問題形式となりました。大問3で2つの文章が取り上げられ、その両方を関連させて理解する力を試すものです。大学入試や公立中高一貫校の入試ではポピュラーな出題形式ですが、浅野中学では少なくとも過去10年では初の試みとなりました。今後はどうなっていくのかわかりませんが「複数テクスト形式+長文化」というスタイルになることも想定して学習を進めておくといいのではないでしょうか。

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漢字の傾向と対策

浅野中学では漢字が8~10問出題されます。推定配点は16~20点ですので、全体120点の13~16%が漢字に配点されている計算です。さほど多く感じないかもしれませんが、得点しておくのにこしたことはありません。

問題のレベルとしては簡単ではありませんが、中学受験用の漢字問題集を1冊仕上げれば対応できるはずです。塾に通っているのであれば、指定されているものを毎日コツコツ練習しましょう。塾に通っていない場合は、「サピックスメソッド漢字の要ステップ1マスターブック」(代々木ライブラリー)、「中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2610問 四訂版 (中学入試でる順)」(旺文社)などをしっかり学習しておきましょう。

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まとめ

・物語文では、人物の場面やシーンの気持ちをしっかり読み取ることが大切。塾で一度は目にしたようなタイプの問題が多いので、比較的解きやすいと考えられる。

・論理的文章では、受験生に新しい価値観や考え方を提示するようなものが取り上げられる傾向がある。これまでに触れたことのない内容でも、論理的に理解することを心がける。

・漢字についてはハイレベルのものばかりが並んでいるわけではない。塾で指定されているものを、毎日コツコツ学習する。

浅野の入試日は例年2月3日です。1日、2日に開成や麻布、栄光、聖光を受けた受験生が受験に来るだけでなく、1日、2日に安全に合格を取った受験生が本命校として受験します。必然的に競争は熾烈になるため、受験するのならそれなりの覚悟が必要です。しっかりと対策して本番に臨みましょう。

【この記事で紹介した本】

サピックスメソッド漢字の要ステップ1マスターブック

中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2610問 四訂版 (中学入試でる順)

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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