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【中学受験の国語】鴎友学園の傾向と対策|筆者が感じた校風も

鷗友学園_国語の傾向と対策 入試問題分析

鴎友学園女子中学校を志望する受験生向けに、国語の入試問題の傾向と対策を紹介します。

(本来「オウユウ」は「區」と「鳥」を用いて「鷗友」と表記しますが、PCやスマートフォンの環境によっては、正しく表記されないことがありますので「鴎友学園」と表記いたします。何卒ご了承ください)

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鴎友学園の国語 配点、解答時間、出題の形式、難易度、合格者平均点

・配点:100
※算数100点、理科100点、社会100点

・時間:45分
※算数45分、理科45分、社会45分

・形式:長文読解2題、漢字の書き取り1題

・難易度:やや難しい

・国語の合格者平均点:60~70点(70点を超えることもあり)

算数、国語、理科、社会の全科目が同じ試験時間、同じ配点です。算数と国語だけでなく、すべての教科でどれだけ努力できたかを大切にする学校であることがうかがえます。

国語の難易度は第一回試験も第二回試験も大きく変わりません。ただ、4科目の合格最低点は第二回試験のほうが10~15%ほど高くなり、2020年度入試(第二回)は4科目で平均70点を取っても合格できないほど熾烈な争いになりました。

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鴎友学園の問題の傾向と対策

鴎友学園では以下のような形式の試験がおこなわれる傾向があります。

・大問1 物語文の読解(6000字程度)

・大問2 論説文・説明文の読解(2600字程度)

・大問3 漢字の書き取り

物語文1題、論説文1題、漢字1題というオーソドックスな形です。塾のテストや模試とほぼ同じ形なので、その意味では抵抗なく取り組めるのではないでしょうか。

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読解問題の傾向と対策

読解問題の傾向と対策を紹介します。

本文の傾向と対策

鴎友学園では、さまざまな世界を題材とした本文が出題されます。過去の問題をいくつか見てみましょう。

・2018年度(第一回試験) 大問1 物語文 夏川大介著『本を守ろうとする猫の話』

ファンタジーです。主人公がトラネコから「世界中の本を集めて切り刻んでいる男がいる。本を助けてほしい」と頼まれるところからストーリーがはじまります。物語文ですが、違いを説明する問題が出題されました(問二)。

・平成29年度(第一回試験) 大問1 物語文 クロディーヌ・ル・グイック=プリエト著 坂田雪子訳『テオの「ありがとう」ノート』

障害を抱えた少年が主人公の物語です。中学受験生にもさまざまな事情を抱えたお子さんがいると思いますが、大半の受験生にとっては自分とは大きく状況が異なる人物が主人公となっています。その気持ちを理解できるかが重要です。

・平成29年度(第二回試験) 大問2 説明文 今井むつみ著『学びとはなにか――<探求人>になるために』

人間が物事をどう理解し、記憶しているかを説明する文章です。「スキーマ」という聞きなれない言葉が出てくるのがポイントとなります。文章中でしっかり定義されていますが、本文を読み進めるうちに忘れてしまい、「あれ、スキーマってなんだった?」と読み返してしまった受験生が多数いたと考えられます。

・平成27年度(第二次試験) 大問1 物語文 ジークリート・ラウベ作 若松宣子訳『庭師の娘』

18世紀のオーストリアを舞台にした物語です。主人公のマリーは庭師としての才能に恵まれながら、女性というだけで思うように活躍できず悩んでいます。いまでこそ社会で活躍女性が多くいますが、かつては女性が働くことを恐れる男性が多くいました。こうした前提となる知識があるかどうかで本文の理解に差が出たと思われます。

・平成26年度(第二次試験) 大問1 物語文 マヤ・ヴォイチェホフスカ著 渡辺茂男訳『闘牛の影』

闘牛士の世界を題材にした文章です。内容自体はさほど難しくないのですが、カタカナの似たような名前が多く、読みながら混乱してしまった受験生は多かったと推測できます。

受験生が親しみやすいものばかりでなく、このようにさまざまな文章が出題されます。受験生とは異なる立場の人物が登場する文章やさまざまな国・時代を舞台にした文章、少し難しめの論説文や説明文に触れておくといいでしょう。海外作品も多く取り上げられますので、できるだけ触れておきたいですね。

大手塾に通っている受験生は、カリキュラムに乗ることで自然とさまざまな文章に触れられます。その都度、自分とは立場が違う人物の気持ちを考えることになりますので、敬遠せずにじっくりしっかり取り組みましょう。

設問の傾向と対策

鴎友学園の設問はすべて記述問題です。大問1が文学的文章で4問程度、大問2が説明的文章で2~3問程度出題されます。基礎的な力を問うものと発展的な力を問うものの両方がバランスよく配置されているという印象です。

たとえば、2019年度(第一回試験)には、こんな問題がありました。

大問1 問二 ――②「作者の気持ちは正反対のように思われるのに、でもとても近い感じがして」とありますが、「正反対のように思われる」点と「ちかい感じが」する点をそれぞれ説明しなさい。説明の際には、「空良の句」「冬馬の句」という言葉を使ってもかまいません。

このように「ちがい」や「共通点」を整理して解答する問題は、受験生にとっては定番中の定番です。一定レベル以上の受験生であれば、本文に「違い」「反対」「似ている」「共通点」という言葉を見たときに、「このあと設問になっているかもしれないな」と意識しているはずです。

2019年度(第1回入試)では大問1の問三で気持ちの変化を答える問題が出されましたし、2018年度(第1回入試)の大問1では、問三で比喩を比喩でない言い方に直す問題が出されました。いずれも大手塾に通っている受験生なら、何度となく解いてきたタイプの問題です。

鷗友学園は、「要素」「加点」方式によって採点することを明言しています。これは、解答の要素としている3~4つの事柄を本文から探し出してきて記述すれば得点をもらえるというものです。本文のなかに根拠を求めて、記述することを意識しましょう。

一方で、難しい問題も出題されます。たとえば説明的文章では、対比や列挙といった文章の構造や形に気づけることが前提となっており、これに気づけるかどうかを試すだけの問題は少なくなっています。このあたりから、鴎友学園のレベルの高さがうかがえます。

鴎友学園の入試で合格最低点となる60~70点を取るためには、基礎的な力をしっかり固めたうえで、本文を本質的に理解する力が必要となります。

過去問に取り組みはじめると「難しい問題を解かないと!」と思うあまり、基礎を忘れてしまう受験生がいます。基礎的な問題をある精度で解答できれば、プラスαで合格点に達することを忘れないようにしましょう。

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漢字の傾向と対策

漢字は書き取りが5つ出題されます。基礎的な漢字が多いのですが、やや難しいものが混ざっていることもあります。

・2019年度(第一回試験) 連綿と続く

・2018年度(第二回試験) 本を貸借する

・平成26年(第二次試験) 盟友

・平成26年(第一次試験) 固辞する

いずれも塾で一度は学習したものだと思いますが、例文のなかで出てきたときにイメージできなかった受験生はいたと思われます。

また、最後に四字熟語を答える問題が出されるのも特徴です。

・2019年度(第一回試験) 危急存亡

・2018年度(第一回試験) 品行方正

・2018年度(第二回試験) 三寒四温

・平成29年度(第一回試験) 玉石混交

・平成29年度(第二回試験) 意気投合

2019年度の「危急存亡」については、解答できなかった受験生が多そうです。ただ、そのほかは基本的なものばかりなので、普段からしっかり学習していれば問題なく解答できたと思われます。

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筆者が見た鴎友学園の校風は?

この記事の目的は、鴎友学園の入試問題と対策について書くことなのですが、校風についても少し紹介したいと思います。

そうだとは言え、市販の学校案内や学校情報に書かれているようなことを筆者が紹介しても意味がありません。そこで筆者が見たことをありのままに書きたいと思います。

ご存じの通り、塾講師は入試期間、毎朝中学校に行って受験生の応援をします。いわゆる「激励」と呼ばれるもので、朝7時ぐらいには学校に到着しているでしょうか。

塾講師が学校に到着したあと数十分すると、(おそらく運営担当となった)在校生が登校してきます。そのタイミングは中学校の本当の姿がよく見えるものです。

鴎友学園で見たのは、校門のなかに立つ女性の先生に向かって手を振りながらやってくる在校生の姿でした。先生のほうもその在校生を笑顔で、しかし先生らしく迎えます。その様子は「ああ、この学校は普段からこういう感じなのだろう」と感じさせるものでした。ありふれた言い方しかできないのがもどかしいのですが、「先生と生徒の距離が絶妙」なのですね。

また鴎友学園の入試問題には、校長先生から受験生へのメッセージが書かれています。

おはようございます。まず、左の【注意】をていねいに読んでください。

これまであなたがお世話になってきた方の顔を思い出してください。

落ち着いてきたと思います。みんながあなたの味方です。

自分の力を信じて最後までがんばりましょう。

こんなところからも、鴎友学園がどんな学校なのかがわかるのではないでしょうか。

ここで紹介したのは、あくまでも筆者が見た鴎友学園の姿と実際に鴎友学園の入試問題に書かれた校長先生からのメッセージです。受験するかどうかはご家庭でよく検討したうえで、決めていただければと思います。

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まとめ

・本文はさまざまな人物が登場する、さまざまな場所、時代が舞台の作品が題材にされる。

・設問は基礎的なものと発展的なものがバランスよく配分されている。塾で何度も解いているような問題でしっかり得点することが大切。プラスαで合格点に充分届く。

・漢字は基礎的なものが多い。四字熟語が1問出される傾向にあるが、塾の教材で勉強していればさほど苦労することなく解けたと考えられる。

鴎友学園の国語を解くためには、6年生夏期講習明けごろまでに基礎をしっかり固めることが大切です。塾の授業でさまざまな問題のパターンに触れ、そのたびにしっかり考え方を理解しましょう。9月ごろから過去問で時間配分の感覚をつかみつつ発展的な力を身につけられれば、合格が近づいてきます。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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