中学入試本番直前には、小学校を休ませて家で勉強させるというのが一般的です。そのため秋ごろになると、「1月はいつぐらいまで小学校に通わせればいいですか?」という質問をいただくことが多くなります。これにはたとえば「1月15日までが正解」と断言することはできません。ただ、ご家庭の方針や子どもの個性に合わせるためのヒントはあります。
なぜ小学校を休む必要があるの?
1月に小学校を休ませる家庭が多いのはなぜなのでしょうか。その理由は主に2つあります。
まずは、追い込みに時間を使うため。中学入試は東京や神奈川ではでは2月1日、千葉や埼玉、関西を含む地方では1月中旬ごろに本番を迎えます。つまり、小学校の冬休みが明ける1月上旬は、まさに入試直前期に当たるのです。
このころになっても過去問などで思うように得点できず不安になる受験生は多いもの。そこで残された時間で少しでも学力を上げるために家で勉強させようと考えるのです。
体調を崩すことを恐れて……というのも理由の1つです。特にインフルエンザにかかると38度以上の高熱が出ます。とてもテストどころではありません。
学校保健安全法には、インフルエンザにかかった場合「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」学校を休むことが定められています。医師にインフルエンザだと診断されると、入試を受けられなくなってしまう危険まであるのです。
筆者がかつて教えた生徒さんには、インフルエンザという診断が下されないよう、あえて病院に行かず高熱に戦いながら受験した子がいました。当然のことながらこの判断は誤りです。ただ、この気持ちは本当によくわかります。
こうした理由から、中学入試直前となる1月には小学校を休ませる家庭があるのです。
入試直前まで小学校に行くことのメリットとデメリット
1月は必ず小学校を休ませなければいけないのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。1月31日まで元気に学校に通い、2月1日に入試を受けに行く子もたくさんいます。このように家庭によって対応に差があるのは、小学校に通うことにメリットとデメリットの両方があるからです。
1月に小学校に通うことのメリット
もっともわかりやすいメリットは、小学校に通うことが子どものストレス解消につながるということです。
ご存じの通り、子どもは受験勉強でかなりストレスを溜めています。特に12月下旬~1月上旬にかけては冬期講習で勉強漬けの毎日を送っているため、息抜きになる時間がありません。
冬休みが終わり学校に行けば、塾では会えない友だちと話したり体育で走りまわったりできます。子ども自身は気づいていないかもしれませんが、実はこれがストレス解消になるのです。
オンとオフの切り替えになるのも小学校に通うことのメリットです。
小学校を休むと家で1日中勉強することになりますが、あまりに長時間過ぎてついダラダラしてしまいがちになります。小学校に行けば、「学校にいる時間は息抜き(学校の先生すみません)、家や塾にいる時間は勉強」というようにメリハリをつけやすくなるのです。
また、必然的に朝しっかりと起きることになりますから、朝型の生活を維持できます。その意味でもメリハリをつけることができると言えますね。
1月に小学校に通うことのデメリット
デメリットはインフルエンザなどに感染しやすくなることです。先ほどもお伝えしましたが、万一こうした病気になった場合は受験勉強をした数年間を水の泡にしてしまうかもしれません。
同じようにケガにも要注意。入院するような大ケガを負うことはなかなかないと思いますが、骨折程度であればいつ起きてもおかしくありません。これが利き腕だった場合は満足に字も書けない状態になってしまいます。
1月は何日ぐらいまで小学校に通わせるべき?
「1月はいつぐらいまで小学校に行かせるべきか?」という質問に対する答えは、ご家庭の方針や子どもの個性によって異なります。「うちの子は家にいるとついマンガを読んでしまって……」というのなら入試前日まで学校に行かせてもいいでしょう。「うちの子は学校よりも家のほうが落ち着いて過ごせる」というのなら早くから休ませる選択をするのもいいと思います。
筆者個人としてはメリットとデメリットを考慮したうえで、1月中旬を目途に学校を休ませるのがいいのではないかと考えています。これなら、ある程度ストレスを解消しながら追い込みをしたうえで、インフルエンザで受験できなくなるリスクを下げることができるからです。
これが絶対に正しいというわけではありませんが、一つの参考にしていただければと思います。
まとめ
子どもにとって学校はストレス解消の場となる一方、インフルエンザなどの感染リスクがある。このメリットやデメリットと子どもの性格を考えったうえで、いつまで通わせるのかを考える。