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【中学受験の国語】栄光学園の傾向と対策|受験生の実際の誤答例も

栄光学園の国語の傾向と対策 入試問題分析

栄光学園の傾向と対策を紹介します。受験生が過去問を解いたときの解答例も紹介しますので、参考にしてみてください。

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栄光学園の国語 配点、解答時間、出題形式、難易度、合格者平均

・国語の配点:70点
※算数:70点、理科:50点、社会:50点

・試験時間:50分
※算数:60分 理科:40分 社会:40分

・形式:長文読解2題、漢字の書き取り1題

・国語の難易度:やや難しい

・国語の合格者平均:40~50点(50点を超えることもあり)

算数が70点/60分、国語が70点/50分、理科と社会がそれぞれ50点/40分となっています。算数の力が試されることがよくわかるバランスです。そうだとは言え、国語の問題が易しいということはなく、塾での日々の学習や過去問演習を通してしっかりした対策をする必要があります。

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栄光学園 国語の問題構成

栄光学園では以下のような形式の試験が実施される傾向があります。

・大問1:説明的文章の読解(3000字程度 ※スペースを含む)

・大問2:文学的文章の読解(4500字程度 ※スペース含む)

・大問3:漢字の書き取り(15問)

説明的文章1題、文学的文章1題、漢字の書き取り1題という一般的な構成です。少なくとも過去10年はこの形式から変わっていないので、過去問を通して時間配分の感覚を身につけるといいでしょう。分量としては決して多くありませんので、じっくり考えるための時間的余裕はあるはずです。

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読解問題の傾向と対策

読解問題の傾向と対策を紹介します。

本文の傾向と対策

まず、栄光学園の説明的文章では、中学受験では定番のテーマが取り上げられる傾向があります。

2021年:食の未来をテーマにした文章

2020年:目の見える人と目の見えない人の空間の感じ方の違いを説明した文章

2019年:声と聴覚をテーマにした文章

2018年:ガンやカモによる猟について説明した文章

2017年(平成29年):昆虫に食べられないように毒を作る植物と、植物の毒に対応しようとする昆虫の関係を描いた文章

2016年(平成28年):ウナギとアナゴの類似点と相違点を説明した文章

2015年(平成27年):開発による海の環境破壊について述べた文章

2014年(平成26年):経済優先の考え方が、農家や国家の食料自給率低下につながっていることを説明した文章

2013年(平成25年):日本とヨーロッパのオオカミに対するイメージの違いと、実像について説明した文章

中学受験生にとっては、何度か触れてきたタイプの文章が並んでいます。「食」「障害」「昆虫」「猟」「生物」「環境破壊」「経済を優先したことから起こる問題」など、入試までに繰り返し読んできたテーマであるはずです。その一方で、「記号論」のような抽象的な概念をテーマとした文章は取り上げられていません。栄光学園を目指す受験生であれば、抵抗なく文章に入っていけるだろうと思います。

次に、文学的文章について確認してみます。

2021年入試:目の見えない主人公が、目が見えていたころには絶対にやろうと思わなかったブラインドマラソンに挑戦しようとする話。

2020年:主人公の少年が、自分の不注意で愛犬をワナにかけてしまい苦悩する話。

2019年:挫折の末に新しい決意を持った先輩の話を聞いた主人公が考える話。

2018年:認知症になってしまった祖父の辛さを、主人公が少し理解する話。

2017年(平成29年):生まれつき障害のある主人公が、他人に感謝ばかりしなければならないことにうんざりし、礼儀正しい子でいるのをやめようと決意する話。

2016年(平成28年):友人とカブト虫やクワガタを取りに行こうと約束した主人公が、僕だけの「秘密の木」で採集するために、友人を裏切ってしまう話。

2015年(平成27年):田舎で育った主人公の少年が、都会から引っ越してきた少女に出会う話。

2014年(平成26年):第一次世界大戦後に両親を亡くした主人公が、父方の祖父母の家でひと夏を過ごす話。

物語的文章で特徴的なのは、外国の文学を翻訳したものが出題される傾向があるということです。最初から日本語で書かれた文章と比較して違和感が生じやすいため、苦手意識を持つ受験生は多くいます。塾のテキストや過去問を通して、読みなれておくようにしましょう。

内容としては、物語のほうも中学受験生にとっては定番のものばかりとなっています。障害のある人物、田舎育ちの人物、友人を裏切ってしまう人物など、自分とは異なる立場の人物が登場しますが、これまでに何度も背景や気持ちを考えたことがあるはずです。栄光学園を受験できる人であれば、自分以外の人の気持ちを文章から読み取ることには慣れているでしょう。

設問の傾向と対策

栄光学園の国語では、記述問題が多く出題されます。ただし、開成中学や麻布中学のように長く書かなければいけないものではなく、1~2行程度の文字量であることがほとんどです。自ずと答えに書き込むべき要素は2~4つ程度にしぼられます。これらの要素をシンプルに書く訓練をしておくといいですね。試験時間は充分ありますので、じっくり考えましょう。

問題のタイプとしては、「理由を書く問題」「傍線部を言い換える問題」「気持ちを書く問題」など、中学受験としては定番の問題が多く出ます。塾での日々の学習をおろそかにしないことが重要です。

記述問題だけでなく抜き出し問題が出題されることもあります。また、2021年入試では記号選択問題や本文を段落分けする問題が出ました。「栄光学園の入試=記述問題」と決めつけないで、抜き出し問題や記号問題の練習も怠らないようにしましょう。

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漢字の傾向と対策

栄光学園では、毎年漢字が15問出題されます。国語全体の配点は70点で、漢字は1問1点。20%以上が漢字に配点されている計算になりますので、軽視できません。

そうは言うものの、中学受験用の対策問題集に出てくるような一般的な例文で出題されることが多いため、しっかりと学習していれば大きな問題はなさそうです。ただし、間違いやすいものがまざっていることがあります。

・2021年入試 「親族のケイズを調べる」(系図)

・2020年入試 「コウゴ陛下」「ショウフクしかねる条件」(皇后、承服)

・2018年入試 「ムソウだにしない出来事」(夢想)

・2015年入試 「県の新しいチョウシャ」(庁舎)

・2012年入試 「人の気持ちをスイサツする」「海外のヒキョウをおとずれる」(推察、秘境)

これらは塾のテストや問題集で一度は書いたことがある字だと思いますし、当然のように書ける受験生も多くいると思います。その一方で、一瞬戸惑ってしまう受験生も多くいることが予想されます。栄光学園を受験するのであれば、こうした漢字を問題なく書けるレベルまで学習しておくことが大切です。

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栄光学園を志望する受験生に多い答案の例

最後に、筆者がいままで一緒に学習した生徒さんが実際に書いた答案の例を紹介します。栄光学園を志望する受験生が気をつけたいことが見えてきますので、よろしければ参考にしてみてください。

【問題】

傍線部③「オリヴィエは笑顔をつくりながら、土地言葉で『またね!』と言った。」とありますが、このときのオリヴィエの気持ちを説明しなさい。

(平成26年/2014年 大問2問三)

実際の解答を見る前に、本文の内容を簡単にまとめてみます。

主人公オリヴィエは第一次世界大戦後のパリで両親を亡くし、一人で両親の故郷であるソーグ村を訪れます。夏休みのあいだ父方の祖父母と一緒に過ごしたあとの去り際、祖母に「またね!」と声をかけました。

この問題に対して、ある受験生はこのような答えを書きました。(わかりやすいように、説明に不要な部分は省略しています)

【実際に生徒さんが書いた解答例】

祖父や祖母を悲しませないようにする気持ち。

この解答は残念ながら減点となる可能性を否定できません。なにが問題なのでしょうか。それを探るために、いったん別の例について考えてみたいと思います。

4月。進学した学校で自己紹介をする時間が設けられました。そのとき、こんなふうに自己紹介した人がいたとします。

【間違った自己紹介の例】

僕はのび太ではありません。

こんな自己紹介を聞いたらどう思いますか? 「のび太でないことはわかっているよ。で、誰なの?」というように思うのではないでしょうか。そう思ってしまうのは自己紹介なのに、自分の名前を説明していないからです。

先ほど紹介した受験生の答案では、これと同じことが起きています。もう一度、読んでみましょう。

【実際に生徒さんが書いた解答例】

祖父や祖母を悲しませないようにする気持ち。

この答案の一番の問題は「悲しませないようにする」という表現にあります。もちろん間違いではないのですが、「悲しませないようにするのなら、どうしようとしたの?」と質問したくなりますよね。こういう解答に書きかえてみましょう。

【表現を直した解答例】

悲しむ祖母を安心させようとする気持ち。

「悲しませないようにする」と書くと「じゃあ、どうしようとしたの?」と聞きたくなりますが、「安心させようとする」と書けば「なるほど、安心させようとしたのだね」と納得できます。

あくまで私の経験上ですが、栄光学園を志望する受験生のなかには「悲しませないようにする」と同じように「~ない」という形で答えを書く子が多くいるように感じています。

いま確認したように「~ない」という表現では、なにも説明したしたことになりません。「悲しませないようにする」と書きたくなったときに、「これじゃあダメだった。『安心させようとする』と書かないと伝わらないよな」と考えられるようになるといいですね。

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まとめ

・説明的文章も物語的文章も、大手塾のテキストや模試で何度も触れたようなものがテーマになっていることが多い。仮に触れたことがなくても、経験を活かせば対応できるはず。

・記述問題が多いが、抜き出し問題や記号選択問題が出題されることもある。日々の学習をしっかりおこなうことが非常に大切。

・栄光学園を志望する受験生は、なぜか「~ない」という書き方をすることが多い(※筆者の経験上)。「~ない」ではなにかを説明したことにはならないので、はっきりとした書き方を心掛ける。

・漢字書き取りの配点は20%以上を占めるため失点は避けたい。中学受験生にとっては基本的な問題が多いので、できれば15問すべて正解を目指す。最低でも13問は正解できるよう、入試直前まで努力を続ける。

この記事で紹介したのは、筆者の見解による栄光学園の傾向と対策、それに受験生の傾向です。実際に受験するかどうかについては、受験生ご本人と話し合ったうえで決めてください。この記事が受験生のお役に立つことを願っています。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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