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【中学受験の国語】なぜ5年生まで得意だった子が6年生になってできなくなってしまうのか

【中学受験の国語】なぜ5年生まで好成績だった子が6年生になって失速してしまうのか コラム

5年生までは国語が得意だったのに、6年生になって少しずつ成績が落ちてきてしまった……ということがあります。実際、私のもとにもこういったご相談が届くことは少なくありません。また、同じように「4年生までは国語が得意だったのに、5年生になって少しずつ成績が落ちてきてしまった」というご相談もよく寄せられます。6年生になる前の5年生の段階で成績が落ちてきてしまうお子さんもいらっしゃるということですね。

「国語は得意!」だったはずなのに、学年が進むにつれて成績が落ちてきてしまうのはなぜなのでしょうか。また、すでに国語の成績が落ちてしまっている場合は、どのように対処していけばよいのでしょうか。

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5年生と6年生で何が変わる?

まずは5年生と6年生でなにが異なるのかを確認します。

本文(文章)のレベルが上がる

6年生になると本文を読むことに緻密さが求められるようになります。

5年生までは難しいことを考えなくても「だいたいこういうことが書かれた文章だよね」と内容を理解できる文章が題材になることもよくあります。

たとえば、文学的文章では受験生に比較的近い年齢の主人公が描かれることが多いため、気持ちを理解しやすいでしょう。

一方の 説明的文章では身近にある植物や動物、理科や社会科などの授業を通して見たり聞いたりしたことのある題材について書かれることがあり、具体的なイメージを描きやすいはずです。使われている言葉も、さほど難しくはありません。

ところが5年生後期を経て、こうした傾向は少しずつ変化していきます。文学的文章では受験生本人とは異なる立場の人の気持ちを考えられなければなりません。また、あるシーンでの登場人物の本音がずっとあとの別のシーンで吐露される、回想シーンの多用で複雑な時間軸が描かれる……といったように、物語の構成自体も高度になっていくのです。

説明的文章では「自由とはなにか」「幸せとはなにか」「社会とはなにか」「知的であるとはどういうことか」など、日常では考えたこともないようなことが論じられた文章が取り上げられます。それだけでなく「話題はなにか」「結論はなにか」「いくつのことが説明されているか」といった論理的に正しく理解するためのスキルも身につける必要があるのです。もちろん、文章中で使われる言葉の難易度も上がっていきます。

問題を解くことに緻密性が求められる

本文のレベルが上がっていくのとともに、解答にも緻密性が求められるようになります。5年生では、本文の内容がざっくりとわかってしまえば解ける問題がありました。特に前期まではその傾向が強かったと思われます

ところが、6年生になると本文の内容の理解だけで問題を解くことが難しくなります。設問に書かれていることを理解し、たとえば傍線部から接続語や指示語を活用して解答の根拠となりそうなところを発見。最終的には意味を考えて答えを出すといったプロセスを踏むような問題が増えていくのです。

6年生では、このような緻密に解答を出すことが求められるようになります。本文自体のレベルが上がっていくなか、何段階もの論理的な思考を経て解答することを求められるようになるわけですから、相応の緻密さが必要です。

選択問題のレベルが上がる

選択問題の質は5年生までと明らかに変わります。たとえば、5年生までは本文中の言葉が選択肢にそのまま使われていることが多く、それを見つければ答えが出るという問題も少なくありませんでした。

ところが6年生になると、本文中の言葉を言い換えた言葉が選択肢に使われている、本文の内容が別の表現に書き換えられて選択肢のなかで使われているといったことが多くなります。それもただ類義語に置き換わっているだけという単純な問題だけではないため、しっかりと思考することが求められるようになります。

記述問題のレベルが上がる

記述問題のレベルももちろん上がります。5年生までは答えに書くべき内容が比較的わかりやすく本文中に書かれている問題が出ることが多くあります。

文学的文章であれば、気持ち言葉としてはっきり書かれていたり、人物の様子から簡単に気持ちを推測できたりするような問題ですね。説明的文章であれば、筆者の主張としてまとめの表現がしっかり書かれていたり、列挙の言葉のあとをまとめたりするような問題が挙げられます。そのため、ある程度のアタリをつけたら、少し形を変えて解答欄に写せば答えになるような問題もありました。

6年生になると、人物の気持ちの読み取りが難しい箇所、話題に対する答えや結論がわかりづらい箇所をまとめなければならない問題が出題されるようになります。もちろん本文を写して構わない表現を不必要に変更する必要はありませんが、自分で論理的に思考して答えをまとめる問題が多くなってくるのです。

語彙・語句・漢字の問題のレベルが上がる

語彙・語句・漢字は、知識問題のなかで直接問われることはもちろん、本文の読解の役に立つものです。先ほど本文(文章)のレベルが上がるというお話をしました。そうであるなら、知っている言葉が多くて損はありません。逆に言うと、語彙力がないとそのまま本文の理解に悪影響を及ぼす危険があります。

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5年生までは国語が得意だったのに6年生で失速してしまう子の傾向

6年生になって急に失速してしまう子にはどのような傾向があるのでしょうか。私がいままで見てきた子には、ある程度共通した特徴がありました。

5年生まで国語が得意だった子のなかには「国語はあまり勉強しなくてもできる」「なんとなくできる」と感じていた子がいます。受験生本人がそう思っているだけでなく、親御さんも同じように感じているケースもあります。

もちろん「勉強しなくてもできる」「なんとなくわかる」という状態のまま入試を突破してしまう受験生も少数ながらいます。

いっぽう、6年生になって急に失速してしまう受験生は、この「勉強しなくてもできる」「なんとなくわかる」が通用しなくなってしまう子です。このような受験生に「この問題はどういうふうに解いたの?」と聞いてみても、多くの場合、根拠を明らかにした説明ができません

つまり、5年生まで「あまり勉強しなくても、なぜかなんとなくできる」と感じていたことでスキルを身につけないまま6年生になってしまったために、難しくなった文章や問題に対応できず成績を落としてしまうという結果になってしまうのです。

「勉強しなくてもなんとなくわかる」状態のまま入試を突破してしまう受験生も、よく話を聞いてみると、実はしっかりとしたスキルを持っていることがよくあります。このような受験生は塾の授業中の話をしっかり理解して、そのスキルを活用して問題に取り組んできた子が多いように感じます。

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6年生で失速してしまったらどうするべきか?

それでは6年生になって国語の成績が下がってしまったら、どう対処すればよいのでしょうか。私としては「なんとなくわかる」という“フィーリング”で読み、解く状態から、できるだけ早く脱する必要があると考えています。

  • 設問のどこに注目すべきなのか
  • 傍線部のどこの注目すべきなのか
  • なぜ本文のこの箇所を確認するべきなのか
  • 選択肢のどこに注目すべきなのか
  • どんなことに気を付けて記述問題の答えを完成させるべきなのか

このようなことをできるだけ論理的に考えて解答するスキルを身につけていく必要があります。そうすることで、5年生から6年生にかけてレベルの上がっていく本文や問題に対応できるようになっていくはずです。

「6年生になってからこのようなことに取り組んでももう遅いのではないか?」というあきらめず、「きっと間に合う!」と信じて取り組んでいただければと思います。

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まとめ

「5年生までは国語が得意だったのに、6年生なってから少しずつ成績が下がっていく」原因と対策を説明しました。同じ現象は4年生から5年生に変わるときにも起きることがあります。その原因や対策はこの記事で紹介したことと同じです。

中学入試を突破するには、論理的に読解・解答するスキルが欠かせません。いっぽうで中学受験の段階で身につけてしまえば、大学受験・社会人まで一生使えるスキルとなります。将来の受験生にとって大きな財産となるはずです。ぜひがんばって見につけてほしいと思います。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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