中学受験生のなかには直前で信じられないような伸びを見せる子と、本来の力を発揮できずに“失速”していく子がいます。どうしてこのような違いが生まれてしまうのでしょうか。
両者の差は、ずばり「気持ち」です。
「なんだ、精神論か」と感じた方、少しお待ちください。「絶対にあの中学校に合格したいという気持ちの強い受験生がなぜ伸びていくのか、一度考えてみませんか?
直前期に成績を少しずつ落とす受験生
受験生のなかには、才能がありながら直前期(6年生11月以降)に入ってから成績を落としていく子がたくさんいます。彼らに共通していたのは、中学受験についての「目標」や「目的意識」がないことです。
もちろん、志望校はあります。「開成に入りたい」「麻布に入りたい」「女子学院に入りたい」「渋渋(渋谷教育学園渋谷)に入りたい」など、受験生によってさまざまです。ただ、その気持ちは本物なのかな……。講師の立場から見ていて「?」マークが浮かぶことはよくあります。
こうした受験生は、いまいち勉強に対して本気になれないもの。受験が近づいてきても無難に勉強を“こなす”だけになってしまうのです。これは目標がはっきりしていないわけなので、仕方ないことなのかもしれません。しかし、結果的に本気でがんばる子たちとの争いに負けてしまい、偏差値をダラダラと下げていってしまうわけです。
直前期で驚くほどの伸びを見せる受験生
逆に驚くほどの伸びを見せる受験生もいます。筆者の経験では6年生前期の偏差値と比較して15以上伸ばした子を何人も見てきました。
こうした受験生に共通しているのは、「どうしてもあの中学に入りたい!」という強い気持ちを持っていること。当然、勉強にも本気になります。
まず授業に対する姿勢から違うのですね。「難しくてわからないけど、あの中学に入るのに必要なんだったら挑戦してみよう」という気持ちが無意識に働くのでしょう。目標のはっきりした受験生は難問にも心が折れることなくチャレンジしていきます。
こうなると、授業で教わることの吸収力に差が出ます。
「あ! これって前にも習ったんだった。次は忘れないようにしよう」
「この問題って、いま教わったことを応用できるんじゃないかな」
こんなふうに、自分で考えながら問題を解くようになるのです。
「1問でも多く正解したい」
「1点でも多く取りたい」
こんな気持ちも強くなるので、自然と勉強にも熱が入ります。当然、雪だるまのように力をつけていくのです。(これぐらい当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、こういう意識を持てる中学受験生はそう多くありません。中学受験性は小学生なのです)
まとめ 「どうしてもあの中学に入りたい」という受験生はなぜ強いのか
本気で受験勉強に取り組む受験生が、なぜ直前期に伸びて行くのかがご理解いただけたと思います。
直前期は気持ちの勝負です。もちろん、強い気持ちを持っているからと言って、すべての受験生が劇的に伸びるわけではないでしょう。しかし、目標や目的意識をしっかり持った受験生なら、成績を大きく上げる可能性があるのです。