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【中学受験】家庭教師の選び方|体験授業のチェックポイント

家庭教師の体験授業、チェックポイントは コラム

中学受験の勉強は、スタートから順調に進むとは限りませんよね。偏差値や合格可能性はジグザグと推移しながら、入試本番まで向かっていくものです。

・入塾してすぐに成績が上がるものの、伸び悩んでしまう受験生。
・ずっと上位クラスをキープしていたのに、5年生後期や6年生前期あたりからコースが下がってしまう受験生。
・入塾からずっと下位コースでがんばってきて、ようやく偏差値が上向いてきた受験生。

本当にさまざまな受験生がいます。

成績が順調に伸びていればいいのですが、停滞してしまったときに考えるのが家庭教師の利用です。ただ、家庭教師を利用した経験がないご家庭にとっては、どのように選べばいいかわからず悩んでしまうかもしれません。家庭教師を依頼するときは、どのようなところに注意すればいいのでしょうか。

家庭教師の役割は?

家庭教師をどのように選ぶかを紹介する前に、まずは家庭教師の役割を考えてみたいと思います。「勉強を教えること」はもちろんのこと、「長期的なパートナーとしてリアルタイムに受験生やご家庭の状態を把握し、改善策を練ること」ではないかと考えています。少し詳しく説明します。

受験生の状態を把握し、改善策や改善プランを練る

「受験生の現状を理解し、どうすれば合格に近づけるかを考える」

これが家庭教師の大きな仕事だと、筆者は考えています。

勉強を教えるだけなら、集団塾でできます。しかし、規模が大きくなるほど、受験生一人ひとりのケアはどうしても手薄になりがちです。

家庭教師は1対1での関わりですから、受験生の様子が本当によく見えます。

・この受験生は抽象的表現と具体的表現の区別がついていないのかもしれない。
・傍線部の指示語に注目できていないなあ。
・読解力がないと思い込んでいるけれど、実は語彙力が足りないのではないだろうか。

こうした細かいところまで把握できるのが、家庭教師だと思います。そして受験生の状態を把握したら、成績が上がるまでのシナリオを書くのも家庭教師の役割です。

・どんな学習をしたら成績が上がるのか。
・いつごろまでにどういう状態にしておきたいか。
・計画通りうまくいった場合はどうするか、逆に計画通りいかなかった場合は、どのように修正するか。

このようなプランを練って中長期的な視点で学習を進めるのが、家庭教師の役割です。

志望校決定のサポート

家庭教師の役割は勉強を教えることだけではありません。たとえば、志望校決定のサポートをするのも家庭教師の役割です。中学受験業界の長い教師は、それまでの経験からさまざま情報を持っています。

「こちらの中学校にはこういう感じのお子さんが多く進学しましたよ」

「あちらの中学校の一般的なイメージはこうですが、実は意外とこうなんですよ」

教師の経験の差のよるところが大きいのは否めませんが、さまざまな受験生を担当した経験があるからこその情報を持っていることが多いのです。

また、家庭教師はネットワークを築いていることもあります。万一、依頼した家庭教師自身が情報を持っていなくても、教師同士のネットワークを駆使して情報にアクセスすることが可能です。

大手集団塾など大きな組織は、もちろん膨大な受験情報を握っています。しかし、家庭教師は受験生と密に関わってきたからこその情報を持っているもの。こうした情報を駆使して受験生をサポートするのも家庭教師の役目だと言えます。

ご家庭のメンタル面のサポート

入試本番までにはさまざまなことがあります。

成績がグングン伸びて楽しく勉強ができることもあれば、逆に模試で大失敗して不本意な結果を残してしまうこともあるでしょう。また学校行事が忙しく、体調不良から成績を落としてしまうこともあるかもしれません。

このようなとき「もう勉強なんかしない! 受験なんかやめる!」と投げやりになってしまう受験生も少なからずいます。そうなると大変なのはご両親です。中学受験生は12歳という難しい年齢。なんとか再び勉強に向き合ってもらわなければいけないのですが、ご両親の言うことを聞いてくれないことも多々あります。ご両親としてもイライラしてしまうことは少なくありません。

そんなときに役立つのも家庭教師です。受験生ご本人が希望するのであればじっくりお話しすることもありますし、ご両親にご不満が溜まっているようであればじっくり聞くこともあります。

合格に向けて伴走するのが家庭教師の役目。ご家庭と連携を取りながら、入試までの日々を歩んでいきます

体験授業でチェックしたいポイント

「家庭教師を頼んでみようかな……」と考えたら、まずは体験授業からスタートとなることが多いと思います。1対1で長期間にわたって一緒に学習していくわけですから、相性の合わない教師に頼むわけにはいきませんよね。そこで、体験授業でどのような教師なのかを見てみようということになるのです。

それでは、体験授業では教師のどのようなところをチェックすればいいでしょうか。

チェックポイント1 授業に同席させてくれるか

筆者は、「家庭教師は授業のすべてをご両親に見ていただくべきだ」と考えています。授業を見ていただけばお子さんがどのような状態にいるのかを把握してもらいやすくなりますし、授業後の話し合いもスムーズに進みやすくなります。また、これは意図したことではありませんが、「子どもへの声かけの仕方の参考になりました」と言っていただくこともあります。

逆にご家庭とはじめて顔を合わせる体験授業なのにもかかわらず、ご両親の同席を拒む場合は「なにか理由があるのかな?」と考えてしまいます。

筆者は「リビングなどオープンなスペースでの体験授業を実施させてください」と事前にお伝えしていますが、そういった提案がない場合はご家庭のほうから「親も同席していいですか?」と聞いてみるといいでしょう。

チェックポイント2 受験生は楽しそうに授業を受けているか

家庭教師は基本的に入試まで長期的なパートナーとして一緒に学習する存在です。特に集団塾でお子さんの状態をいまいち把握してもらえていない場合は、家庭教師がその役割を担うことになります。必然的に長く一緒に学習する存在となるわけです。

そう考えたときに大切なのは、お子さんが楽しく学習できる相手であること。何事も楽しくなければ続きません。体験授業で「この先生が大好き!」「絶対にこの先生と一緒に勉強したい!」となることはなかなかないと思いますが、少なくとも「この先生なら一緒に勉強してもいいかも」と思えなければ長期的なパートナーにすることは難しいでしょう。

「楽しい」とはゲラゲラ笑うことではありません。授業をやっているわけですから当然ですね(もちろん笑うこともありますが)。お子さんが授業に興味を持って聞いているか、集中して授業に取り組んでいるかがポイントになります。

チェックポイント3 解説は論理的かどうか

家庭教師の役目は受験生がつまずいているところを発見し解消することです。そのために必要なのは論理的な説明です。

私は国語の教師ですが、記述問題の解説中に「あとは本文のこの辺りを使って書けばいいと思います」で済ませてしまった教師を見たことがあります。これでは受験生のなかに「え、どうして本文のこの辺りを使う必要があるの?」という疑問が残ってしまいますよね。これでは説明したことになりません。「設問のこの文言に注目すると、本文のここを読む必要がありそうだよね」など、論理的な解説をしてくれる教師を選びましょう。

チェックポイント4 前向きな声をかけているか

お子さんやご家庭のメンタル面のサポートも家庭教師の大切な仕事です。そうであるならば、家庭教師はお子さんが前向きになる言葉をかける必要があります。

「そう! よくわかったね!」

「できたね! それでいいんだよ! よしよし、次の問題もやっていこう!」

「この問題ができたのはとってもすごいことだよ!」

こうした前向きな言葉が受験生をやる気にします。体験授業では教師がどのような声かけをしているかにも注意しましょう。

チェックポイント5 体験授業後に改善案を指摘してもらえるか?

体験授業が終わったら、まずは教師に質問してみてみましょう。たった一言、「うちの子、どうですか?」で構いません。

しっかりした教師であれば、体験授業のあいだにお子さんの状態をある程度把握しているはずです。「今日の授業を見る限り、こういうところがよかったですね。逆に、こういうところが苦手のようですね」などという返答があると思います。さらに「今後こういう勉強をしていくことで、まずはこういうところまで持っていきたいですね」といった改善案が出てくる教師であれば、まずは信頼していいのではないかと考えます。

まとめ

・家庭教師の役割は、長期的なパートナーとしてリアルタイムに受験生の状態を把握し改善策を練ること。

・体験授業では、この観点で教師を観察するといい。

家庭教師は中学受験生にとって非常に大切な存在です。お子さんやご家庭に合った家庭教師が見つかることを願っています。

進学教室サピックスに国語科講師として約14年半勤務。α1~Aコースまで担当しました。「がんばる子の隣で一緒に勉強したい」という願いを叶え、2019年12月から家庭教師として活動中です。今後も「隣にいる人の幸せのために」を忘れずに、中学受験生と一緒に学習したいと思います。

プライベートでは5歳の娘の育児に奮闘中。親としての先輩であるお母様、お父様からさまざまなことを学ばせていただいています。

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