中学受験生のご両親が子どもにやらせたくないものの一つにゲームがあります。子どもを夢中にさせる“魔力”があるゲームは、確かに大切な勉強時間を奪うものです。なるべくゲームに触らせたくない気持ちはよくわかります。
ただ、中学受験に成功する受験生のなかに、「ゲームが大好き」という子が一定数いるのも事実です。このような子たちが希望する中学校に合格できたのはなぜなのでしょうか?
入試が終わったらゲームをやりまくります!
6年生の秋と言えば、中学受験生がもっとも大変な季節です。通塾日の増加、志望する中学校の過去問、苦手科目・分野の克服、毎週のように続くテスト……などなど、勉強の負荷が一気に重くなります。直前期となる12月を迎えるころには、「もう勉強なんて疲れた! 受験なんて早く終わりたい! 明日入試でもいい!」と言い出す子も珍しくありません。
子どもたちの気持ちは非常によくわかるのですが、この時期に気持ちが折れてしまうと入試本番に力を発揮できなくなる危険性があります。少しでも明るい気持ちで勉強を続けてもらうためには、「入試が終わったらなにがしたい?」と聞いてみるのが有効です。
男子に多いのは「ゲームをやりまくる!」という答え(「友だちと遊ぶ!」ではないのがなんとも寂しいものですがここでは問題にしません。「ゲームをやりまくる!」と答える子が多いのは偏差値の高低にあまり関係がありません。実際、入試終了後に連絡して「いまなにしてた?」と聞くと、「ゲームをしてました」と答える子はたくさんいます。受験勉強のためにゲームを禁止されていた反動もあるのでしょう。
ちなみに、女子は「友達とディズニーに行きたい」という答えが多いようです。
入試とゲームの共通点とは?
ゲームというと、「子どもの勉強時間を奪うもの」「受験の役に立たないもの」と考える方は多いのではないでしょうか。子どもは一度ゲームをはじめると夢中になってしまうものですし、なかなか自発的にやめようとはしてくれません。ですから、「ゲーム=受験勉強の時間を奪うもの」という図式は間違いではないと思います。ただ、よく考えてみると勉強とゲームには共通点があります。
- あるルールの範囲内でクリアや高得点(ハイスコア)を目指すものであること
- クリアするためには工夫が必要であること
入試にもゲームにもルールがあります。たとえば、制限時間や使えるものが全員同じである点。入試であれば公式や法則などが使えるものにあたり、ゲームであればアイテムや呪文などが使えるものにあたります。また、せっかく問題を解く(ゲームをクリアする)ためのアイテムを持っていても、使いこなせなければ意味がありません。ゲームをクリアするためには、「この場面ではあのアイテムが使えるのではないか」などと考える必要があります。これと同じように、テストで高得点を取るためには「この問題ではあの解き方で解けるのではないか」などと工夫する必要があるのです。
ゲーム好きの子が中学受験で強い理由
中学受験生のなかには、こうした勉強とゲームの共通点を本能的に理解している子が一定数存在しています。そして、受験勉強をするなかで手に入れたアイテムを上手に使って、教室の友人たちと競い合いながら高得点を目指しているのです。
「勉強とゲームを一緒にするなんて……。勉強する意味や目的をしっかり理解させたうえで勉強させるべきだ」と眉をひそめる方もいらっしゃると思います。もちろん、おっしゃる通りです。こうした考えを否定するつもりはありません。中学受験生をお手伝いするうちの一人として、むしろ賛成です。
ただ、「どうして勉強する必要があるのだろうか?」という問いについて大人がいくら説明しても、理解できる小学生がどれほどいるでしょうか。おそらく1%もいないと思います。実は、大人でも「どうして勉強する必要があるのだろうか?」という問いに対して、明確に答えられる人は多くないと思います。そうであれば、まずは「志望校に合格する」という目標を達成するために、ゲーム感覚で受験勉強に取り組んでもいいのではないかと筆者は考えています。
ただし、ゲーム自体は子どもの受験勉強の時間を奪うものであることに間違いありません。「時間を決めてやってもいい」とする家庭もありますが、中学受験生、特に6年生がゲームをやることにメリットはありません。6年生になるころまでには一度やめさせる必要があると考えています。
6年生になるタイミングでゲームを禁止にすると、子どものなかに少しずつ「早く受験を終えてゲームをやりたいっ!」という気持ちが溜まっていくことがあります。これが受験勉強へのモチベーションになることがあるのです。
まとめ
- ゲームと入試には共通点がある。
- ゲーム好きの子のなかに中学入試に強い子が一定数いる。
- ただし、ゲームが受験勉強の時間を奪うものであることに間違いはない。
- 中学受験生がゲームに夢中になることにメリットはないので、6年生になるころまでには一度やめさせる必要がある。
今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。